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2007年12月

2007年12月
中華風ミートパイ(牛肉×葱)
肉餅(牛肉大葱)
P1070848.jpg

【データ】とき:12月20日/ところ:東四十条・十条平安肉餅店/ねだん:6元

さて、肉餅店に来たからには、やはり肉餅を食べないと。
麻豆腐食べて安心している場合ではない。

ここの肉餅は、がちっと小麦粉の生地で肉餡を包み込んだ硬派。
前回は、豚肉入りの猪肉大葱(zhu1rou4da1cong1)をいただいた。

▼過去の肉餅関連記事:
【平安肉餅店】肉餅

今回頼んだのは、二大肉餅メニューの一つ、牛肉大葱(niu2rou4da4cong1)。

P1070849.jpg


牛肉ものが用意されているのは、
やっぱり「回民(hui2min2)=回教徒」への配慮だろうな。

この牛肉版肉餅、
前回の豚肉版よりもやや生地がやわらかめで、くったりした感じだった。

にじゅっとしみ出してくる黄色い油は、牛肉から出る油なのだろうか。
この間香港に行く前に食べた門釘肉餅からも、
こんな黄色い油がしみ出してきたのを思い出す。

【門釘李】門釘肉餅

ところで、すんごく余談だが、
こちらの人はクリニークのDramatically Different Moisturizing Lotionのことを
「黄油(huang2you2)」と呼ぶ。
ほんとの名前は「特効潤膚露(te4xiao4run4fu1lu4)」って言うんだけどね。

いや別に、この肉餅にモイスチャーローションが入っていると言いたい訳ではない。
「黄色い油」でちょっと思い出したもので。

閑話休題。

牛肉大葱の肉餅をぱくつきながらふと窓の外を眺めると、
道ばたで男性の店員さんが段ボール箱いっぱいの大ぶりの長葱の皮を剥いていた。
毎日、毎日、ああして長葱の下ごしらえをして、
大量のみじん切りを作る人がいて、
そうして初めて私たちはこの店で肉餅を味わうことができるんだなあ。

さんさんと降り注ぐ冬の陽を浴びながら
にこにこと笑いながら葱を剥く青年を見ていたら、
思いがけずそんな素直な感慨に浸ってしまったことだった。


■お店情報
十条平安肉餅店
東城区東四十条街(軍区総医院近く)
6402-1739
*東四十条地下鉄駅から西方向に進み、一つめの交差点を左折した左手側にあります。
*店名をマイナーチェンジ。以前の店名の前に「十条」が増えました。


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老北京風の麻豆腐(植物油ヴァージョン)
老北京麻豆腐(素油)(lao3bei3jing1ma2dou4fu(su4you2))
P1070846.jpg

【データ】とき:12月20日/ところ:東四十条・十条平安肉餅店/ねだん:10元

香港から日本への帰国の途中で北京に立ち寄った朋友yukidarumaさん。
彼女がわざわざ北京経由で帰国したのは、
もちろんオシゴト関係の事情もあったけれど、
私はこの麻豆腐が真の理由だと踏んでいる。

なんてったって、私が香港に行くと言ったその時から、
「麻豆腐よろしくー。」
と指令が飛んだくらいで、
素直で従順な私は出発の朝空港までの道のりを遠回りして麻豆腐を買い
ジップロックで完全密閉して香港まで「帯走(dai4zou3)=お持ち帰り」したのであった。

ちなみに麻豆腐というのは、
緑豆から春雨を作る際に出るおからを羊の油で炒めた料理のこと。
緑豆おからの他には、大豆や青豆、青菜の漬け物などが入っていて、
ラー油を利かせてほんのり辛く仕上げてある。

▼過去の麻豆腐関連記事
後海・北京小吃紀行~麻豆腐

しかし、yukidarumaさんの指令には一つ条件がついていた。
「素油で!」
「素油(su4you2)」というのは、植物油のこと。
羊油(yang2you2)と区別してこう呼ばれる。
yukidarumaさんは羊の匂いが苦手なのだ。

「老北京(lao3bei3jing1)=チャキチャキの北京っ子」に言わせると、
「羊油で炒めたんじゃなきゃ麻豆腐とは言わない」
らしいが、まあいいとしようではないか。

さてその麻豆腐をどこで食べるかいろいろ考えた末に向かったのは、
東四十条にある平安肉餅店。

久しぶりに訪れてみると、店名に「十条」がついて「十条平安肉餅店」になっていた。
マイナーチェンジ。
でも店内の雰囲気は前と変わらず安心する。

お昼時とあって、店内はほぼ満席。
P1070855.jpg


こういう簡易食堂みたいなのが会社の近くにあったら、
私もお昼に通うのになあ。

まずはお目当ての麻豆腐を頼む。
でもその前に、「素油」のがあるか聞かないとね。

「有没有用素油炒的麻豆腐?(you3mei2you3 yong4su4you2chao3de ma2dou4fu?)」
「有!(you3!)」

あると聞いて一安心。
さっそく注文する。

ここの麻豆腐は、辣椒油(la4jiao1you2)が別々に出てくるスタイル。
P1070845.jpg


これをお好みで麻豆腐本体にかける訳だ。
もちろん私たちはちょびっとずつなんて上品なことはせずに、
ガーッと一気がけ。

羊油ではないので、あの独特の臭み=旨味はないが、
緑豆おからのこくが十分に出ていて深い味だ。
刻んだ漬け物の塩気がいいアクセント。
おからが少し発酵して、ほんのり酸味を感じる。

ところで、麻豆腐はもちろん豆腐ではない。
豆をすりつぶしたおからのふんわりやわらかい状態を例えて「豆腐」と言ったのだろう。
「麻(ma2)」がついているのは、
ちょっとお豆のぶつぶつした感じが残っていて
「ざらざらとなめらかではない」=「麻」という意味なんだろうな。
(違ったりして)
時々、麻で作った豆腐とか、ゴマで作った豆腐と紹介されていることがあるけど、
これは違う。

「麻」と冠がついているとは言え、麻豆腐は実はとてもふんわりした食感だ。
そこに青豆や大豆、青菜の漬け物の食感が加わって、変化に富む。

「北京にいる間に麻豆腐に開眼してなくてかえって良かった・・・」
長いこと北京に住んでいたのに、
北京を離れてから麻豆腐の美味しさを知ったyukidarumaさんがこうつぶやいた。
でないと大変なことになっていた、というのだ。

寝ても覚めても麻豆腐の日々になってただろうから、
ということらしかった。
それほどに、麻豆腐は魅力ある食べ物だってことか。


■お店情報
十条平安肉餅店
東城区東四十条街(軍区総医院近く)
6402-1739
*東四十条地下鉄駅から西方向に進み、一つめの交差点を左折した左手側にあります。
*店名をマイナーチェンジ。以前の店名の前に「十条」が増えました。


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豚の腎臓の炒めもの
爆炒腰花
P1070817.jpg

【データ】とき:12月16日/ところ:寛街・皇城根[衣荅][衣連]火焼/ねだん:10元代だった?

棒餃子を食べに行って、
思いがけずダックを見直す会になってしまった今回のローカルグルメ会。

肝心の棒餃子は以前のエントリーでご覧いただくことにして、
今日はこの日頼んだ他のお料理のご紹介。

「僕これ、好きなんですよ。」
と、いつもはオーダーお任せのSさんが珍しく自ら頼んだのが、
この爆炒腰花だ。

「爆炒(bao4chao3)」と言っても、別に爆発している訳ではなく、
「爆(bao4)」は熱した油でジャーッと揚げ炒めすること。
「腰花(yao1hua1)」は、
「腰子(yao1zi)=豚や羊の腎臓」に細かく包丁を入れたもののことだ。
炒めると花のように開くのでこの名がある。

腰子はレバーほどクセがなく、つるりとした光沢と食感のある臓物。
日本ではあんまり見かけないが、
こちらではかなりポピュラーな食材だ。

しっかりと下処理をして濃いめに下味をつけ、
さらにニンニクをたっぷり入れた醤油味でザッザッと炒めてある。
唐辛子でぴりっと辛めに味付けてあり、お酒にもご飯にも合う。
赤青ピーマンと木耳も入って、お野菜もたっぷり摂れるところがまたうれしい。

安価な臓物は庶民の味方。
ここ北京にも、長い間親しまれてきた定番臓物料理がたくさんある。

臓物に目がない方、もしくはそんなに抵抗がない方は、
ぜひぜひ北京の臓物料理を試してみてほしい。


▼過去の皇城根[衣荅][衣連]火焼関連記事
【皇城根[衣荅][衣連]火焼】


■お店情報
皇城根[衣荅][衣連]火焼
北京市東城区地安門東大街甲46号
8403-5786
*寛街中医院のある交差点から西に100mくらいのところにあります。


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ダック骨周り肉の塩胡椒揚げ
椒塩鴨骨(jiao1yan2ya1gu3)
P1070828.jpg

【データ】とき:12月16日/ところ:寛街・皇城根[衣荅][衣連]火焼/ねだん:68元(ダック代)+5元(骨のところの調理代)

月に一度のSさん宅お茶会の流れで、
ローカルグルメ会なるものを企画させていただいている。

前回は田源鶏の鶏鍋で好評をいただいたが、
今回は皇城根[衣荅][衣連]火焼というお店の棒餃子。

箸でつまむと両側にくったりとなる様子が、
旧時のお財布兼物入れ「[衣荅][衣連]」(da1lian)に似ているので、
[衣荅][衣連]火焼(da1lianhuo3shao1)という名前がある。

▼[衣荅][衣連]火焼についてはこちらのエントリーをどうぞ。
【皇城根[衣荅][衣連]火焼】[衣荅][衣連]火焼

このお店に、グルメ会を前に個室を予約しようと電話を入れたら、
「最低消費額は200元。」
と言われてしまった。
が、まさか一人200元じゃないだろう。
なんてったって庶民派レストランだ。
7名程度で200元ならまず問題ないだろうと思い、そのまま個室をお願いした。

ところが、なんてったって庶民派レストランなので、
一品一品がえらく安い。
メインの[衣荅][衣連]火焼からして、1両3.5元程度。
最低注文単位の2両(5本分)頼んでも7元くらいのもの。

あわわ、これはやばいぞ。
200元に届かないではないか。
内心焦っていたら、まるでその気持ちを見透かしたように店員さんが言った。

「北京ダックはどうですか?」

おお!
渡りに船、餃子屋にダック。
一羽頼めば68元で、最低消費額の三分の一を一気にクリアーではないか。
後は白酒でも頼めばなんとかなるだろう。

「お願いしますお願いします。」

みなさんの同意を得た上でダックを注文すると、
店員さんが当たり前のような顔をして聞いてきた。

「骨はどうやって食べますか?」

おお!きた!
皮と肉をそぎ落とした後の骨まわり肉の調理方法を聞いてきたぞ!
これがあの質問か・・・

あの質問というのは、
皇城根[衣荅][衣連]火焼の記事にコメントをいただいたぽぽこさんからのご質問。
「あの質問」

なんと、このブログを見て初北京にして皇城根[衣荅][衣連]火焼に足を運ばれたという。
ありがたいことだ。

ご質問の内容をかいつまむと、
「この店で北京ダックを頼んだら、残った骨のところの調理法を聞かれた。
 甘辛の炒めものを食べたが、他の調理法は?」
というもの。

ところが、私はこれまでダックの残りの骨の調理法を聞かれた経験がなく、
いつもお決まりの「鴨湯(ya1tang1)=ダックスープ」ばかり。
これはぜひとも皇城根[衣荅][衣連]火焼に行って確かめてみなければ・・・
と思っていたのだった。

「骨はどうやって食べますか?」
こう聞いてきた店員さんに、質問開始!

「どんな調理方法があるんですか?」
「鴨湯と、紅焼と、××と、△△と、・・・・・・」

早すぎて聞き取れん。

「ちょっ、ちょっと待ってください。もう一度ゆっくりお願いします。」
「鴨湯と、紅焼と、椒塩と、孜然です。」
(*「仔然」ではなく、「孜然」の間違いでした。2009/3/17訂正)

ここにダック骨肉調理法の全貌が明らかに。

鴨湯(ya1tang1)

 ご存知ダックスープ。
 ほとんどの北京ダック店では、皮と肉をそがれたダックちゃんは
 有無を言わさずこのスープに姿を変えて帰ってくる。
 あまり美味しいものではない。

紅焼(hong2shao1)

 お醤油風味で甘辛に炒め煮にしたもの。
 ぽぽこさんが召し上がったのはこれだと思われる。

椒塩(jiao1yan2)

 一度素揚げにしてから塩胡椒味で炒めたもの。

孜然(zi1ran2)

 一度素揚げにしてから(たぶん)クミンシード風味で炒めたもの。

今回私たちがお願いしたのは、三番目の椒塩(jiao1yan2)。
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これがまた、素揚げにした骨周りの肉が香ばしく、
そこに塩胡椒が利いて思いの外美味だった。

特に首まわりがいい。
もともと鶏の首のところを煮込んだスープで作るうどんが好物だったりもして、
私は首のところのお肉に目がない。

からりと揚がったパリパリ肉とスパイシーな味付けとなれば、
ビールのつまみにも最高だ。

骨まわりをガリガリとやるワイルドな感じもいい。

「そう言えば、香港では北京ダックを食べると必ず骨の調理法を聞かれてたなあ。」
香港滞在の長いSさんが感慨深げにおっしゃった。
「今度北京ダックを食べに行ったら、別の調理法でできるかどうか聞いてみよう。」

北京は北京ダックの本場。
なのに、残った骨肉の調理方法を聞かれたのはここが初めてだった。

もう知っていると思っていた北京ダックにも、まだまだ未知の境地があるのだなあ。
ガリガリとダックの骨をかじりながら、
中華料理の奥深さを改めて噛みしめるのであった。

【おまけ】
ダック本体。
こっちがおまけなんて、主客転倒ですな。

ダックの皮のとこ。
P1070825.jpg


お肉のとこ。
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鴨餅(ya1bing3)と薬味あれこれ。
P1070822.jpg

桂花(gui4hua1)=キンモクセイ風味のソース(右端の茶色いの)もあったが、
これはあんまり・・・

おまけにパイナップルまで!
P1070824.jpg

これもあんまり・・・

結局一番美味だったのは、揚げた骨だったわけで。
まさに主客転倒ですな。


■お店情報
皇城根[衣荅][衣連]火焼
北京市東城区地安門東大街甲46号
8403-5786
*寛街中医院のある交差点から西に100mくらいのところにあります。


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羊肉入りのスープ
羊肉湯(yang2rou4tang1)
P1070777.jpg

【データ】とき:12月16日/ところ:工体東路・北平羊湯館/ねだん:10元

秘制羊湯の美味さに昼間の再訪を誓った私。
その機会はあまりに早くに訪れた。

なんと、翌日の昼には速攻で再訪しちゃったのねー。

濃厚スープの秘制羊肉湯もいいけれど、
この日頼んだのは定番の羊肉湯(yang2rou4tang1)。

予めほろほろに煮込まれた羊肉のスライスと、
ちょっと太めの春雨が入ったボリュームたっぷりのスープだ。

大碗(da4wan3)で10元、小碗(xiao3wan3)なら8元。

「大碗羊肉湯!」
注文すると、入り口横のスープの大釜のところに控えた店員さんが、
はいよっとばかりに作業開始。

まずはほろほろ羊肉スライスと春雨をどんぶりへ。
P1070807.jpg

羊肉はでっかい旧式の秤でちゃんと量ってからどんぶりに投入する。

どんぶり準備完了。
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しかしこの釜の蓋。昔のお風呂の蓋みたいで懐かしー(<あ、知らない?)

大釜でぐつぐつ煮えるスープ。香菜もスタンバイ。
P1070788.jpg

積み重なったどんぶりが、駅ソバを彷彿とさせる。

まずはでっかいおたまでスープを注いで。
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具をおたまで押さえてスープをジャーッ。
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こうやって羊肉スライスと春雨を温めるのだな。

またまたスープを注いで。
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ジャーッ。
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これを何度か繰り返して。
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香菜をのっけって、できあがり。
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胡椒をふって召し上がれ。
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このスライス羊肉が、ちっとも羊肉の臭みがなくて食べやすい。
でも羊肉の旨味はしっかり残していて、
一口噛むごとに口の中に感動が広がっていく。
いや、大げさじゃなくて。

さらに特筆すべきは脂身。
とろりと凝固した脂身は、まるで旨味の結晶。
凝脂とはまさにこのこと。
言葉につまる。
脂身を食べて絶句するほど美味しいと思ったのは、これが初めてだ。

スープは羊の旨味がしっかり出てはいるものの、とてもあっさり。
こってり濃厚だった秘制羊肉湯とは対照的だ。
味が足りないと思えば、胡椒、塩、黒酢を入れて自分好みに調整できる。

私は例によって黒酢を少々。
たちまちスープの味がきゅっと引き締まる。

羊肉湯には春雨もたっぷり入っていて、スープと言えども食べであり。
P1070779.jpg


おっといけない。
焼餅(shao1bing3)を合わせるのも忘れずに。
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ビニール袋で無造作に出されるあたりも、庶民的でいいではないか。
あ、環境にはやさしくないけどね。

このお店、他にも羊雑湯(yang2za2tang1)という羊モツ肉のスープも人気。
こちらもそのうち試してみよう。
神秘のヴェールを脱いだ北平羊湯館は、なかなかに探求のしがいがありそうだ。


■お店情報
北平羊湯館
朝陽区工体東路14号(工人体育場東門向かい)
P1070811.jpg

看板の左上にあるのは「黄」の篆書体。黄さんが営む老舗の羊肉スープ店だ。
「北平(bei3ping2)」は北京の旧名。


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特製羊肉入りのスープ
秘制羊肉湯(mi4zhi4yang2rou4tang1)
【データ】とき:12月15日/ところ:工体東路・北平羊湯館/ねだん:20元

今の会社に勤めるようになってからずーっとずーっと気になっていたけれど、
あまりのディープ度の高さに入るのを躊躇していたお店がある。

その名も「北平羊湯館」。

P1070767_1.jpg


工人体育場の東側にある、小さな小さなお店。
ウチから会社への通勤経路にある。

休日出勤した土曜日の夜、この店の神秘のヴェールがはがされた。
ついに、足を踏み入れてみたのだ。

店のドアを開けると、
ぶわっと押し寄せてくる羊肉の香り。
大鍋でぐらぐらと煮え立つ羊スープのたてる香りだ。

P1070755_1.jpg

(↑北京人の匂いもぷんぷん。)

羊嫌いの人なら、即刻回れ右して「はい、さようなら」な匂いっぷり。
でも羊好きなら「こりゃもうたまらんわい」のかぐわしい香り。
日本酒好きの人が酒蔵に行って
「もういっそのこと酒樽に漬かりたい」という衝動にかられるのと同じくらいの
香りの高濃度攻撃だ。

この日は「秘制羊肉湯」を頼んだ。
お値段20元。
普通の羊肉湯の倍もする高級品だ。

これがもう美味いのなんのって・・・
濃厚な羊肉のエキスがたっぷりなのに、ちっとも臭みを感じない。
羊肉はよく煮込まれてほろほろ。
下に隠れている太めの中華春雨もたまらない。

「これは、一人ご飯しに来るにもいいかもしれん・・・」
ずるずると春雨をすすり、羊肉をかじりながら、
秘かにこう思った私だった。

唯一残念だったのが、店内が暗くてまともな写真が撮れなかったこと。
と言う訳で、秘制羊湯の写真はなし。
スミマセン。

赤く輝く「北平羊湯館」のネオンを背に、
昼間の再訪を固く心に誓ったのだった。


■お店情報
北平羊湯館
朝陽区工体東路14号(工人体育場東門向かい)


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桃源郷
世外桃源(shi4wai4tao2yuan2)
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ある週末を、桃源郷で過ごした。

そこは余りにもゆったりとして、余りにも贅沢で、余りにも優雅で、
それでいてさりげなく、控えめで、あたたかい場所。
しとしと降る雨がゆっくりと大地を濡らしていくような、
さざ波がゆっくりと水面を伝っていくような、
おだやかな喜びが心と身体にしみわたっていく。

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俗世を離れた別天地は、杭州の郊外、富陽という町にある。
元代の画家、黄公望が公職を退き終の棲家として結んだ庵、
富春山居をモチーフにしたラグジュアリーリゾートだ。
その名もまさに、「富春山居(フーチュンリゾート)」。

P1070707.jpg


フーチュンリゾートのホームページ

ガルボのフーチュンリゾート紹介記事

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今回は、SPA宿泊プランを利用した。
お値段は目玉が飛び出るくらい高額だけれど、
結果的にはその値段以上のものを楽しみ尽くして帰ってきた。
本当に価値ある上質のものならば、
例え高額であろうともその代価を払うことは少しも惜しくない。
(とは言え、もちろんそれなりの覚悟は必要だったけれど・・・)

ゆっくりと目を閉じれば、
フーチュンリゾートで過ごしたひとときが、
フェードインとフェードアウトを繰り返すスライド写真のように
まぶたのスクリーンにゆっくりと浮かんでは消えていく。

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それは龍井茶のさわやかな味わいが
いつまでも口の中に残り続けているようでもあり、
上質のワインの酔いが
いつまでも醒めやらずに夢見心地をたゆたっているようでもあり。

回味無窮(hui2wei4wu2qiong2)。
その味わいは、
冷たい北京の空気の中でさえほっこりと私の心に灯って、
いつまで尽きることがない。

シンプルでけばけばしさのかけらもないアジアンテイストのインテリア、
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あたたかい暖色系の間接照明が灯りエッセンシャルオイルがほのかに香る館内、
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レイクビュー・ラウンジのテラスから眺める霧にかすむ龍井茶の畑、
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冬の陽にやわらかく映えるひなびた田舎の山々、
P1070676_20071225025022.jpg

江南の里山の稜線を眺めやり、暮れなずむ冬の日を惜しみつつ入るジャクジー、
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自分ひとりだけがたてる水の音を聞きながらゆったりと泳ぐインドアプール、
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インドヨガマスターから学ぶヒマラヤヨガレッスン、
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5種類のエッセンシャルオイルとミルクバスで夢見心地のボディ・トリートメント、
経絡に沿って血行を促進し排毒する中国式マッサージ、
使いやすく設計された落ち着いた雰囲気のお部屋、
P1070542.jpgP1070546.jpg

決してでしゃばらないのに、
呼び止めればいつでも笑顔で対応してくれるスタッフ・・・

そのすべてが上質で優雅なのに、ひけらかさず、おだやか。
奥ゆかしいアジアの美徳が凝縮したような、
とろりとした深い緑の翡翠の美しさのような。

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バッグももたず、お財布も持たず、携帯電話も持たず、
ただ大判のストールとカメラだけを持って過ごした2日間。

P1070605.jpg


何も持たない生活というものは、こんなに快適なものなのか・・・
新鮮な驚きと共に、
ふだん抱えている余計なものの存在に気づいたりもするのだった。

北京から持っていった物を、
物理的な意味ではもちろん北京にまた持って帰ってはきたけれど、
私はあそこに何かを卸して置いてきたのかもしれない。

P1070579.jpg


あれから数週間。
いつもと同じ日々では、
誰かが私の代わりにお部屋を片付けてくれることも、
水辺のテラスで手漕ぎ船を眺めながらお茶を飲むこともなく、
朝ご飯で使った食器は自分で洗うし、
飲むのはティーバッグのほうじ茶だけれど、
それでも、
桃源郷の酔いは、まだ醒めやらずに私の周りにほんのりと漂っている。


■お店情報
富春山居(フーチュンリゾート)
杭州市杭富沿江公路富陽段
0571-6346-1111


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フーチュンリゾート・グルメあれこれ
富春美食(fu4chun1mei3shi2)
【データ】とき:12月8・9日/ところ:杭州・富春山居/ねだん:宿泊プラン内に含む

今回のフーチュンリゾート滞在で利用したのはSPA宿泊プラン。
本来なら到着日と二日目の2ディナー、
二日目のランチ、
二日目と三日目の朝食がプラン内に含まれているけれど、
私たちは一日目の到着が11時すぎだったので、
わがままを言って初日のディナーを二日目のランチに振り替えてもらった。
こんな融通の利くプラン設計も、魅力あるところ。

フーチュンリゾートでは、洋食と中華料理を中心にいろいろといただいた。
では、滞在中の食事の順にざっと写真でどうぞ。

◆二日目朝食◆

フルーツの盛り合わせ
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ほうれん草とベーコン入りオムレツ
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◆二日目昼食◆

自家製パン/グリーンサラダ(ピスタチオのチキンロール添え)
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ラムチョップ・ミントソース(野菜のソテー添え)
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もう少しミントを利かせてもいいかも。
お肉はやわらかくて美味。
でも3本は多すぎ!


◆二日目夕食◆

江南料理のコース。
小さく取り分けて少しずつ出されるので、
いろんな料理をちょこちょこ食べたい向きにはおススメだ。

(照明が暗くて写りが悪いのが残念!)

左:前菜三品
(地鶏の紹興酒漬け、高野豆腐煮、くらげと干し大根の和えもの)
右:小蝦の龍井茶炒め

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蟹入り茶碗蒸し
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これ美味!

牛肉とグリーンチリの炒めもの/トンポーロー(フーチュン風)
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トンポーローは細かく切れ目が入っていて食べやすい。
割とあっさり味で煮込んであるので、
あの甘ったるさが苦手な人にも大丈夫。

チキンとフカヒレのスープ/骨付き鶏肉の唐辛子風味揚げ
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あっさりした口当たりと濃厚なチキンのエキスが調和したスープが出色。
唐揚げは、北京在住者の口にはやや刺激不足。

春菊のガーリック炒め/青菜と椎茸の炒飯
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野菜の香りたっぷりの二品。
にんにくがしっかり利いた春菊がシンプルでいい。
椎茸入りのややしっとり系チャーハンもあっさりした上品な味で好感度大。
しかし、いかんせん量が多い。
食べきれず。

あずきのムース(フルーツ添え)
P1070654.jpg


ふんわりと仕上げた小豆味のムース。
日本の和風カフェでも出しそうな洒落た一品。
でも、もう一息こくがあったほうが好みかな。

それにしてもものすごいボリューム。
さすがの私も食べきれず。


◆三日目朝食◆

フレンチトースト
P1070669.jpgP1070670.jpg


メープルシロップをたっぷりかけて。
さらにバターとジャムをのっけて、一気に血糖値アーップ!

朝から元気であります。


◆三日目昼食◆

ちょっと肌寒かったけれど、大型のストーブをたいてもらってテラスで食事。
ここからの眺めが何よりのご馳走。

生春巻き/シンガポール風カレー風味の焼きビーフン
P1070709.jpgP1070711.jpg


カッペリーニの海鮮トマトソース
P1070716.jpg


塩味が足りなかった?
いや、足りないのはうま味かな?
イタリアンはちょっと弱いかも。

小籠包
P1070712.jpg


これは・・・今ひとつかな。
期待値が高すぎたかも。

娃娃菜の炒めもの
P1070710.jpg

若々しいベビー白菜の甘みがひきたつシンプルな炒めもの。
スープ仕立てであっさりと。

*****

全体的に、西洋料理よりも中華料理のほうが美味しかったように思う。
お味のほうは、感動するほど美味しいかと問われると、
大きく頷くことはできないかもしれないけれど、
そのロケーションや雰囲気を加味するとかなり評価は高くなるだろう。

眺めのいいテラスが気持ちいいレイクラウンジ、
楼閣のような作りの落ち着いた中華レストランのアジアンコーナー、
対岸のゴルフコース沿いにある西洋料理のT8と、
選択する場所で変化もつけられるので、
二泊三日くらいなら飽きずに食べられるのも魅力だ。

さて、そのフーチュンリゾートがどんなところかは、こちらをどうぞ。
【富春山居】世外桃源


■お店情報
富春山居(フーチュンリゾート)
杭州市杭富沿江公路富陽段
0571-6346-1111


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龍井茶
龍井茶(long2jing3cha2)
P1070723.jpg

【データ】とき:12月9日/ところ:杭州・富春山居/ねだん:?(宿泊プラン内に含まれていたので)

日本人にとっての中国茶の代名詞とも言うべき龍井茶だが、
個人的にはふだんあまり口にする機会がない。

けれど、龍井茶のふるさと杭州に来たとなれば、
やはり味わってみたくなるもの。
しかも、ゆったりとしたテラスから
靄にけぶる龍井茶畑を眺めやりながら飲めるとなればなおのこと。

P1070572.jpg


北京の誇りっぽく乾燥した空気とは違って、
杭州の空気はしっとりと湿気を帯び、
肌をやさしく潤していく。
湖面を渡る冬の風も心なしか穏やかだ。

中国を代表するラグジュアリーリゾート、富春山居(フーチュンリゾート)の
レイクラウンジで供される龍井茶は、
可愛らしいお洋服を着てテーブルにやってくる。

P1070721.jpg


お洋服ごと両手ですっぽりと包み込むようにして持ち、
ふーっ、ふーっと息を吹きかけて茶葉を湯飲みの向こう岸に送ってやる。
ふっくらとやわらかな龍井茶の茶葉が波に寄せられたそのすきに、
そっと湯飲みに口をつけてお茶をいただく。
冬の昼下がりに、早春の香りが広がった。

P1070719.jpg


ゆっくりと沈んでいく薄黄緑の茶葉を見つめながら、
籐椅子に沈めた身体から力を抜いていく。
ほおっと、深い息をつく。

茶葉がお湯の中で開いていくように、
私の中でも、何かがゆっくりと開いて広がっていった。

(富春山居(フーチュンリゾート)については、こちらをどうぞ。)
【富春山居】世外桃源


■お店情報
富春山居(フーチュンリゾート)
杭州市杭富沿江公路富陽段
0571-6346-1111


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キッシュ
法式咸派(fa3shi4xian2pai4)
P1070529.jpg

【データ】とき:12月6日/ところ:東直門外・法派/ねだん:17元

東直門外の外人向けマンション、東湖別墅。
ここの住人向けサロン東湖倶楽部の1階にある法派(Comptoirs de France)は、
北京でおいしいケーキとパンを扱うベーカリーとして評価が高い。

これはそこのキッシュ。
ほうれん草が思いの外たっぷり入っていて、ほくほく。

P1070531.jpg


ベーコンとチーズの塩気がちょうどいい加減だった。
ちょぴっとのっかったトマトの酸味もうれしい。

こういう洋風のものって、時々無性に恋しくなる。
普段は中華料理大好きな私ですらも。

もちろん一つではお腹いっぱいにはならないけれど、
ちょっと小腹を満たすにはこれで十分。
中味がほうれん草だし、ヘルシー?
バターがたっぷり使われているってことは、この際置いといて・・・

たっぷり入ったコーヒーを飲みながら、友人たちと気の置けないおしゃべり。
中国にいることを忘れる、ちょっと欧州の香りのするひととき。


■お店情報
法派(Comptoirs de France)
東城区東直門外大街35号東湖倶楽部1階
6461-1525


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作りたてほかほか豆乳
黄豆豆漿(huang2dou4dou4jiang1)
P1070525.jpg

【データ】とき:12月5日/ところ:棗営北里・福華肥牛城/ねだん:8元

ご近所の福華肥牛城に牛肉しゃぶしゃぶを食べに行ったある日の晩。

▼過去の福華肥牛城関連記事:
・【福華肥牛城】

前日の飲みすぎがたたって
珍しく「アルコールいらない」モードになっていた私が何を飲もうかと悩んでいたら、
店員さんに勧められたのがこれ。

その場で大豆から作ってくれる、作りたてほかほか豆乳だ。
ピッチャー(っていうかコーヒーサーバーですけどね)でどーんと大量に出てきて、
これで8元。

蒸かした大豆をミキサーにかけて作るのでちょっと時間がかかるのが難点だが、
その美味しさはそれを補って余りある。
大豆の旨味が凝縮されたほんのり人肌のあったか豆乳は、
二日酔いの身体にも心にもやさしく染みわたる。

中国の人は豆乳にお砂糖を入れて飲むのを好む。
生乳があまり手に入らなかった頃は、牛乳と言えばホットスキムミルクだったが、
これにも必ずと言っていいほどお砂糖が入る。
ついでに言うと、緑豆粥や小豆粥にもお砂糖を入れる。

私はいつもはストレート派なのだが、
疲れていてちょっと甘いモノが欲しくなった時には入れることもある。
ちょっと心がほっこりするのだ。

ところで、豆乳は中国語で「豆漿(dou4jiang1)」だけど、日本語では豆の乳。
こればかりは、日本語のほうをひいきしたい。
まさにミルクとしか言いようのない、
植物の栄養とパワーが凝縮した液体なのだもの。


■お店情報
福華肥牛城(麦子店店)
朝陽区棗営北里3号
6586-7195
*他にも市内各地に支店があります。


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昆山風「かまどの妙」麺
昆山奥灶麺(kun1shan1ao4zao4mian4)
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【データ】とき:11月30日/ところ:/ねだん:8元(小)、12元(大)

【南国紫軒】江浙菜からの続きです。)

この日〆に頼んだ麺は、浙江省は昆山名物の奥灶麺。
「灶(zao4)」は、「かまど、台所」という意味だ。

奥灶麺とはまた聞き慣れない名前だと思って調べてみると、
なかなかに謂われのある麺だった。

この麺は、昆山の玉峰山にある「奥灶館」という店の名物だ。
「奥灶館」は創業百年近くにもなる歴史ある老舗だという。

奥灶麺は、紅油爆魚麺と白湯鹵鴨麺が有名で、
紅油爆魚麺は麺が細くて白く、スープが赤い。
(ここで言う、「赤」は実際には赤みを帯びた茶色のことね。)
白湯鹵鴨麺は、白い麺に白いスープのオリジナルフレーバー。

スープは青魚(鯉に似た魚)の鱗、えら、身の肉、粘液(!)を煮込んだもの。
トッピングにもこだわりがあって、「爆魚(bao4yu2)=揚げた魚」は青魚を使う。
「鹵鴨(lv3ya1)=ダック肉の煮染め」は「昆山大麻鴨」を使い込んだスープで煮込んであり、
こってりしているのにくどさがない。
麺は「龍須麺(long2xu1mian4)」と呼ばれる龍のひげのような細い麺を使い、
ちょうどいい硬さにゆであげる。

奥灶麺は、「三燙(san3tang4)」にもこだわる。
(「燙(tang4)」はやけどしそうに熱いこと。)

一つが「麺燙(mian4tang4)」。
麺をあげる際、普通のお湯ではなく沸騰したお湯にさらすので。

二つ目が「湯燙(tang1tang4)」。
合わせたスープを鉄鍋に入れ、とろ火で煮込んで温度を保っているので。

三つ目が「碗燙(wan3tang4)」。
お碗を洗った後、保温と消毒を兼ねて沸騰したお湯の中に入れておくので。

なので「奥灶麺」は、
「数九寒天」と呼ばれる一番寒い時期でさえ食べると汗をかくという。

ところで、なぜこの麺が「奥灶麺」と言われているかには、諸説があるようだ。
一つには、清の乾隆帝が江南に下った際、この麺を食べ「奥灶」の名を賜ったという説。
いろいろと尾鰭がついているが、どうやらこれは伝説に過ぎないようだ。

もう一つは、あまりきれいではないが、まあ信憑性が高い説。
奥灶館の前身だった「顔複麺館」は小さくて古く、黒ずんでいて、
経営者の陳秀英が年を取って動作が遅くなり目も利かなくなってきてからは
さらに薄汚れた様子になったため、
常連から「鏖糟麺(ao2zao1mian4)」と呼ばれるようになったというもの。
「鏖糟(ao2zao1)」というのは土地の方言で、あまりきれいでないという意味だ。
後にこの店が「奥灶館」という名前になったのも、
この「鏖糟(ao2zao1)」と発音が似ていて、
「奥妙在灶頭上(ao4miao4zai4zao4tou2shang4)=かまどの妙」の意味に通じるからだという。

とまあ、これはネット上の説明をテキトーに要約したなんちゃって蘊蓄。
で、実際に食べた感想はと言うと・・・

よくよく煮込まれたのか、とろみさえ感じるこってりスープが深みのある味わい。
濃厚なスープだ。
表面に張った膜が、ただものでないこってり加減を物語っている。

P1070519.jpg

ただ、見かけほどにはくどくない。

別皿で出てくる具は、揚げた魚(これがいわゆる「爆魚」なんだろう)、
雪菜と枝豆、それに漬けた野山椒。

お魚は揚げ浸しになっていて、たれの味がよく染みている。
酸っぱい野山椒は、こってりスープの美味さを引き立てると同時に、
いい口直しにもなっている。
憎い取り合わせだ。

麺は割合しっかりした食感の細麺。
たっぷり入っていて、かなり食べでがあった。

でもこの麺のキモはやっぱりスープだろうな。
このとろーりこってりした濃厚な味は、なかなかに味わい深かった。
「かまどの妙」とは、まさにたとえて妙なり。


■お店情報
南国紫軒
朝陽区棗営路29号(好運街09号)
5867-0279
*好運街の右端寄り。北海道ラーメンの隣です。


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江蘇・浙江地方の料理
江浙菜(jiang1zhe4cai4)
【データ】とき:11月30日/ところ:/ねだん:?元

ウチからかなりのご近所さんな立地にある好運街だけれど、意外と利用しない。
ましてやあまり興味のない江蘇・浙江料理のお店ならなおさらだ。

だのに、ある週末の夜。
なぜだかふと気が向いて、好運街にある江蘇・浙江料理のレストランに足が向いた。
南国紫軒である。

ちっとも知らなかったが、
南国紫軒はチェーン店で好運街店以外にもいくつか支店があるらしい。
それなりに流行っているお店のようだ。

この日頼んだのは7品。
いつもながらメニューの絞り込みが下手で、ついつい多めに頼んでしまう。

[酉昔]泡生仁(cu4pao4sheng1ren2):16元
P1070497.jpg


薄皮を剥いた生のピーナッツを黒酢に漬けた物。
「え、生?」
と一瞬腰が引けるが、食べてみるとこれが意外にいける。

「泡(pao4)」は「ひたす」こと。
別に泡まみれになっている訳ではない。

拌臭豆腐絲(ban4chou4dou4fusi1):12元
P1070504.jpg


臭豆腐は揚げたものしか食べたことがなかったが、
こんなふうにそのまま細切りにして和えものにすることもあるんだなあ。

揚げることで花開く臭さもあれば、
生だからこそどっしりと響いてくる臭さもある。
いやつまり、結構臭いんです。

金陵塩水鴨(jin1ling2yan2shui3ya1):18元
P1070501.jpg


南京名物、ダック肉の塩水漬け。
うーん、普通?
あまり箸伸びず。

清[火屯]蟹粉獅子頭(qing1dun4xie4fen3shi1zitou2):28元
P1070498.jpg


獅子頭(shi1zitou2)というのは、大ぶりの肉団子のこと。
わりとふっくらした質感で、お店によってはアクセントにクワイが入ったりする。

P1070499.jpg


ここは豪華版で「蟹粉(xie4fen3)=ほぐした蟹肉」が入っているが、
別に蟹にあまり情熱を感じない私としては、正直なところ余計だった。
シンプルな肉団子のほうがよっぽど潔くて好きだ。

さて、前述した通り中国語の獅子頭は肉団子のことだが、
日本語では「ししがしら」、獅子舞で使う獅子の頭を模したかぶり物だ。
(ちなみに「ししがしら」にあたる中国語は、「獅子頭部仮面」となるらしい。)

この獅子頭(ししがしら)で思い出したエピソードがある。

あるメーカーのイベントで、
友好の印として日本側から「獅子頭」を贈呈する場面があった。
このイベントの司会を務めていたのは、日本語の堪能な中国人女性。
彼女は日中通訳界ではかなりの知名度のある方で、
その日本語能力はネイティブスピーカーの私ですら舌を巻くほどの素晴らしさだ。

その彼女が、この「獅子頭」贈呈の場面で
「それでは、“ししとう”の贈呈です!」
とやってしまったのだ。

伝統工芸品の「獅子頭」が、ぴりりと辛い「獅子唐」に化けてしまった。
「獅子頭」をそのまま素直に音読みにすると「ししとう」になっちゃうからなあ。
“かしら”と“とう”では大違い。

いや、彼女もちゃんと分かってはいたのよね。
その証拠に、あわてずにさりげなく
「“ししがしら”の贈呈です。」
って言い直してたし。

芦蒿焼鴨絲(lu2hao1shao1ya1si1):38元
P1070500.jpg


「芦蒿(lu2hao1)」は、アスパラガスと芹を足して二で割ったような野菜。
ほんのり香る苦味がなんといえない。
これと、こってりと脂ののったダック肉の細切りを炒め合わせた。

ダックというとすぐ北京ダックを思い出すかもしれないが、
こうした炒めものの材料としてもなかなか侮れない。
ほんの少しの量でもこくが出て、野菜のあっさりした味がかえって引き立つのだ。

葱焼鴨血(cong1shao1ya1xue4):12元
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香港で猪紅を食べてから、ちょっと血ものに開眼。
あちらは豚の血だったけれど、こちらはダックの血を固めた血豆腐だ。
これとざっくり切った葱とを醤油ベースのたれで軽く炒め煮したもの。
鴨血もいいが、葱の甘みがまたオツ。

菊葉羹(ju2ye4geng1):28元
P1070506.jpg


江南地方に行くと、北ではあまりお目にかからない野菜がたくさんある。
この店のメニューにも見慣れない名前の野菜があって面白い。
この菊葉も初物。
調理法は炒めものとスープが選べるとのことなので、
「羹(geng1)=あつもの、とろみスープ」にしてもらうことにした。

卵の黄色と菊葉の緑が、太極みたい。
菊葉は春菊みたいなクセがあるのかと思ったが、意外と素直な葉物野菜だった。
あっさり味で飲みやすく、思わずおかわり。

P1070509.jpg


さて、この後〆に麺を頼んだのだが、
この麺がなかなかに謂われのあるものだった。

【南国紫軒】昆山奥[火土]麺に続きます。)


■お店情報
南国紫軒
朝陽区棗営路29号(好運街09号)
5867-0279
*好運街の右端寄り。北海道ラーメンの隣です。


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韓国焼き肉
韓国焼烤(han2guo2shao1kao3)
P1070487.jpgP1070493.jpg

(↑暗くて写りが悪くてすみません・・・)
【データ】とき:11月28日/ところ:望京・汝矣島/ねだん:68元

ちょうど上海の古北あたりが日本人エリアになっているのと同じように、
北京には韓国人が集まって居住するエリアがあって、「韓国城」と呼ばれている。

望京である。

望京は、北京市の中心部から首都空港方向に20分ほどいったところにある。
この辺りには、韓国からの駐在員やその家族が多く住んでいる。
望京新城というマンションがその中心で、
このマンションの敷地内ではほとんどハングルが公用語ではないかと思うほど朝鮮系の人が多い。

食に関しては、日本のおじさんたちに輪をかけて保守的な彼らのことだ。
当然ながらこの地域には韓国料理のレストランが集中している。

韓国人は、本当にかたくなに自分たちの食生活を守る。
日本人だって・・・と思うかもしれないが、
そのこだわりぶりは本当に「かたくな」と表現しても大げさではないほどで、
彼らはひたすら韓国料理を食べ続けるのである。
(ま、時には他のも食べるだろうけどね。基本的には韓国料理です。)

そんな彼らのことだ。
中国にある韓国料理レストランだからと言って、彼らは味に妥協はしない。
まずいと思えば容赦なく文句をつけ、改善を求める。
こうして、北京の韓国料理のレベルは上がっていくことになるのだ。

余談だが、それに比べると、
北京で中国人が経営している日本食レストランのレベルは今ひとつ。
中国人がやっている日本食レストランで
「こりゃないだろ?」
という料理が出てきても、
日本人の多くはその場では何も文句を言わずに
心の中でそっと、でもきっぱりとだめ出しをするだけで黙って食べ、
その代わりもう二度とその店には行かない。
一見友好的でありながらその実大変に陰湿(自嘲を込めて)だ。
沈黙のクレーマーである。
だから北京のなんちゃって日本食レストランは一向になくならない。

で、韓国料理に話を戻すと、
韓国人たちがいろいろと口うるさく言ってくれるおかげで、
日本人の私たちまでそこそこ本場の味の韓国料理を
北京に居ながらにして楽しむことができる。
韓国の人よ、ありがとう。

今回やって来た汝矣島も、
韓国の人たちが通う「ドアを入ればそこは韓国」なレストランである。

今回注文したのは、68元の焼き肉セット。

牛、豚、鶏など焼き肉食べ放題に
白菜キムチやら水キムチやら胡瓜のキムチやらの付きだしが山ほどつき、
P1070484.jpgP1070485.jpg


さらにお粥やらチャプチェやら
P1070490.jpgP1070491.jpg


ふわふわ茶碗蒸し風なのやらジョンやら
P1070489.jpgP1070494.jpg


串焼きやらお寿司(?)やらコロッケやら・・・
韓国っぽいのからどこ料理だか分かんないのまで盛りだくさん。
ええもうそりゃあ盛りだくさんの料理が
これでもか!これでもか!と後から後からテーブルに乗り切らないくらいに出てくる。

その間もミノやらダック肉やらなんやらかんやらのお肉がじゃんじゃん焼かれては
保温用の石鍋にどんどこ運ばれて来る。

挙げ句の果てには〆の主食までついている。
冷麺だのキムチ炒飯だの豆腐チゲだの味噌チゲだのから選べて、
チゲには黒米入りのご飯をつけてもらえる。

P1070495.jpg


この黒米入りのご飯がもちもちしていて美味。
餅米がブレンドされているのだろうか。
中華料理のレストランではご飯を美味しいと思った試しがないが、
(芯が残ってて固かったり、逆にぐじゅぐじゅに軟らかかったり、
 石ころが入ってたり、ぽそぽそしてたり、冷めてたり・・・
 とまあまずいご飯の要素満載。)
韓国料理のレストランではおおむね美味しいご飯が食べられる。
これも北京の日本人が北京で韓国料理を好む理由の一つだ。

さらには、この68元セットに10元をプラスすると、
ビールが飲み放題にもなっちゃうのだ。

なんだかもう、
「この勢いと量に気圧されてはならじ!」
と運ばれてくる料理をやっつけているうちに、
気づけばお腹ははちきれんばかりにふくれあがり、
いったいぜんたい料理を制覇したんだか制覇されたんだかもよく分からなくなり、
脱力放心状態になって焼き肉の宴は終わったのであった。

恐るべし、北京の韓国料理レストラン。


■お店情報
汝矣島(ru3yi3dao3)
朝陽区望京湖光中街9号
5472-8610
*湖光中街と広順北大街との交差点から西へ20mくらい、道の北側にあります。
 707路の『湖光中街東口』バス停のすぐそばです。


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ナズナと豆腐、細切り肉入りのスープ
薺菜豆腐肉絲羹
P1070463.jpg

【データ】とき:11月25日/ところ:朝陽公園西門・孔乙己尚宴/ねだん:6元

孔乙己尚宴では、スープを一人分ずつ頼むことができる。
特に高い食材のものを選ばなければ、10元以下で割合リーズナブル。
いや、やっぱり高いかな。
そこいらのローカルレストランなら、
大きなどんぶりになみなみつがれたスープでこのくらいの値段だからな。

そのかわり、とても丁寧なつくりのスープだ。
とろみのついた「羹(geng1)=あつもの」に、
細切りされた豆腐と豚肉の細切り、そしてナズナを細かく刻んだものが入っている。

P1070464.jpg


具だくさんで意外に飲み応え(食べ応え?)があるスープだ。

しょっぱすぎず、あっさりと抑えた味付けに好感が持てる。
ナズナを浅漬けにしてあるからか、
それともナズナ自体がそういう味なのか分からないが、
スープを飲んだ後に舌先にかすかに酸味が残るのが面白い。

*****

この日は前菜、スープの他にもいろいろと食べていたので、ざっと写真でご紹介しよう。

P1070461.jpgP1070466.jpg

左:炸臭豆腐(zha2chou4dou4fu):しゅう豆腐の揚げもの
右:油[火悶]笋(you2men4sun3):筍の炒め煮

P1070467.jpgP1070468.jpg

左:(確か)紹興小炒(shao4xing1xiao3chao):紹興風イカと野菜の炒め合わせ
右:羅卜干炒飯(luo2bogfan1chao3fan4):干し大根のチャーハン

どれも油っぽさを抑えたあっさり風味で、日本人の口に合う。
(臭豆腐は一部の物好き日本人以外は苦手かも。)

3泊4日の北京の旅で、もう中華は飽きたけど和食にするのも芸がない・・・
そんな方がいらしたら、ここ孔乙己尚宴をオススメしたい。
店内も清潔できれいなので、安心して食事が楽しめますよ。


■お店情報
孔乙己尚宴
朝陽区朝陽公園路八号公館内
6508-2228
▼過去の孔乙己尚宴関連記事:
【孔乙己尚宴】

*よりローカル色の強いお店が好みなら、老店のほうへどうぞ。
孔乙己酒店(老店)
東城区東四北大街322号(六条西口南20メートル)
6404-0507/6401-3855
▼過去の孔乙己酒店(老店)関連記事:
【孔乙己酒店】老派江南紹興菜



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枝豆の酒糟漬け
香糟毛豆(xiang1zao1mao2dou4)
P1070465.jpg

【データ】とき:11月25日/ところ:朝陽公園西門・孔乙己尚宴/ねだん:10元以下?

紹興酒の酒糟に食材を漬け込んだ料理は浙江や江蘇あたりの定番。
枝豆を漬けたこの香糟毛豆もその一つだ。

▼過去の香糟毛豆関連記事
【鷺鷺酒家】の糟毛豆

塩ゆでしただけの枝豆はほっこりしたお豆の旨味がストレートに出ていて美味だが、
こうして酒糟という名演出家の力を借りると、
思いも寄らない新しい風味が引き出されてこれもまた捨てがたい。

豆のさやに歯をあててクッと軽く力を入れると、
にじゅっとわき出してくる付け汁の旨味、
ピュッと飛び出て、酒糟の旨味を追いかけてくる豆のほくほく。

シンプルで安価な食材なのに、複雑な食感、深い味わい。
小さな皿の上にささやかな奇跡を見るようで、
ちょっとした感動を胸に、またさやに歯をあてるのだった。


■お店情報
孔乙己尚宴
朝陽区朝陽公園路八号公館内
6508-2228


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酔っぱらい鶏(骨付き鶏肉の紹興酒漬け)
酔鶏(zui4ji1)
P1070457.jpg

【データ】とき:11月25日/ところ:朝陽公園西門・孔乙己尚宴/ねだん:20元くらい?

何度か登場はしているけれど、改めてこれだけ紹介したことはなかった酔鶏。
江南あたりの料理では定番の冷菜だ。

酔鶏(zui4ji1)と名がつくだけあって、お酒が使われている。
作り方は、本当はいろいろと工程があるようだけど、
思いっきり省略して書くと、
薬味入りのお湯でゆでた骨付きの鶏肉を紹興酒に漬け込んで作る。

P1070458.jpg


小原庄助さんではないけれど(あ、庄助さんがつかったのは朝風呂でした)、
紹興酒のお風呂につかってすっかり酔いのまわった鶏肉は、
そりゃあもうこちらがその美味さに酔いしれてしまうほど味わい深い。

口に含んだ瞬間に、じょわっとしみ出してくる芳醇なお酒の旨味と、
むちっとしてほどよく脂ののった鶏肉の旨味。
その複雑かつあっさりとした味わい。
油を使わないさっぱり調理法でありながら、この深みのある味はどうだ!

皮際の脂がゼラチン質になったところがたまらない。
骨際のコラーゲンの塊もまたたまらない。

紹興酒を吸い込んでしっとりと潤った鶏肉の質感に、
「紹興酒パックをしたらお肌もこんなにみずみずしく潤うかしら」
と思わず妄想してしまう。

いけない、いけない。
紹興酒は飲むにとどめておこう。

P1070460.jpg


パックのかわりにぬる燗の黄酒をゆるゆると。
それでも十分、心はしっとりと潤うのであった。


■お店情報
孔乙己尚宴
朝陽区朝陽公園路八号公館内
6508-2228



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そんなこんなであっちこっち振り回されつつも無事に終了した香港マカオ食い倒れ紀行。
いろんなところでご飯を食べて、
いろんな人に会ったなあ。

実は、香港に行く前に行きたいレストランをいくつかピックアップしてあったし、
食べたい物もたくさんあったけど、
あんまり実現しなかった。

留家厨房の留家煙燻鶏(スモークド・チキン)も、
グランドハイアットのワンハーバーロードのマンゴープリンも食べられなかったし、
ああそういえば、亀ゼリーもマカオのエッグタルトも食べなかった・・・

でも、満足だった。
思いがけず足を踏み入れる機会のあった会員制レストランも、
ホテルの近くの大衆食堂も、
近しい人と囲む食卓も、
初対面の人と緊張しながら囲む食卓も、
どれも意外性と出会いに満ちた得難い幸せな食卓だった。

きっちり予定を立ててそれをこなす旅もいいが、
おおらかに構えて成り行きに任せる行き当たりばったりの旅もいい。

そんなことを、大陸中国人から教わった旅だった。

■香港マカオ食い倒れ紀行・フルラインナップ
香港マカオ食い倒れ紀行2007(プロローグ)
【記酒家】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之一)
【紫荊海鮮酒家】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之二)
【中国会】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之三)
【船屋葡國餐廳A Lorcha】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之四)
【金興飯店】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之五)
【香港大学校友会】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之六)

【おみやげ】

日本の酒のアテばかりを買い込んだ今回の旅みやげの中で、唯一例外の香港もの。

P1070527.jpg


白魚の塩こしょうめ。

だけど、これはいける。
酒のアテにも、麺のトッピングにも、和えものの具にも。
サラダにのっけてもおいしいよ!
もっと買い込んでくればよかったと後悔中。


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ご学友の集う場所
【データ】とき:11月24日/ところ:香港(中環)・香港大学校友会(HK Univ Alumni Association)/ねだん:?(おごりでした)

(【金興飯店】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之五)からの続きです。)

香港最終日。
前夜の夜更かしのせいもあって、行動を開始したのは10時すぎ。
まずは画廊に顔を出す。

開幕式に間に合わなかった画集が刷り上がってきていた。
パラパラとめくりながら、雑談。
そうこうしているうちに、W氏、I女史も顔を出した。
さらに、弟氏の同級生でやはり現代アーティストのW氏(あら、またWさん!)が
お父上を連れて香港に遊びに来ているとかで合流。
さらにさらに、共通の友人らしき方とそのご家族も合流。

こんな風に、この画廊にはたくさんの中国大陸アーティストやアート関係者が次々に顔を出す。
この画廊ならずとも、香港は今や大陸アーティストの寄港地みたいになっている。
そして香港だけではない。
今日はベネチアで、明日はパリで、あさってはニューヨークで、
こんな風に中国人アーティストどうしが連絡を取り合い、
おおぜいで食卓を囲み、食べ、飲み、話し、笑い合っているのだ。
このネットワークの強固さはどうだ!
連携の緊密さはどうだ!
私は軽いショックを覚えつつ、笑顔でみんなの話を聞く。

この日も、せっかくだからみんなで食事をということになった。
画廊のスタッフが連れて行ってくれたのは、「香港大学校友会」のレストランだ。

「香港大学校友会」(HK Univ Alumni Association)は、香港大学のOB会のレストラン。

ちゃいなびの関連記事

香港大学出身の名士の名前が刻まれたプレートが壁にはめ込まれ、
この場所の本来の姿を物語る。
もともとは卒業生どうしの交流の場として使われていた普通の食堂だったが、
今では卒業生でなくても利用することができるレストランになっている。

ちなみに、香港島にある香港大学と、
九龍サイドにある中文大学とでは、
香港大学出身の医者は九龍サイドでは開業しないなど
相手の地盤を侵さないという不文律があるそうだ。
「じゃあ、勢力範囲侵犯だね、君は!」
中文大学出身なのに香港島にある画廊で働くスタッフに向かってジョークが飛んだ。

円卓にはあれよあれよと言う間に、十数人が集まった。
ご高齢のW氏のお父上から、こんな愛らしい少女まで。
P1070441.jpg


またまた思いもしない展開だ。

お料理のオーダーはまたもや画廊スタッフにお任せ。
どんなものが出てくるか、お楽しみだ。

杏汁肺湯(豚の肺のスープ・アーモンド風味)
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中に浮かんでいる肉らしきものの正体が分からなかったので、
「これ、何?」
と隣りに座った弟氏に聞いてみると、
「豚の肺。」
初物だ。

よく煮込まれたスープには、ほのかに杏仁の香りがついている。
杏仁というとスイーツしか思い浮かばないのは日本人だけで、
中国人は前菜に、そしてスープにと、実に多彩に杏仁を利用する。

豚の肺と一緒に煮込まれている野菜は白菜。
やさしい白菜の甘みと杏仁の香りにほっこりとする。

翡翠雲腿炒鴿片(蜜煮雲南ハムの唐揚げとハト肉炒め):$220
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このお店の看板メニューの一つだそう。

「雲腿」は雲南ハムのことで、豚の後ろ足を海水に漬け、陰干し熟成させたもの。
それをさらに蜂蜜に漬け、卵の黄身をつけて揚げてあるという。
ハムの塩気と蜜の甘みがケンカせず、なんとも複雑にして豊かな味わいだ。

ハト肉は手羽のところを唐揚げにしたものと、
秘伝のたれで袋茸と炒めたものが一緒に出される。
どちらも捨てがたいが、
雲南ハムの香ばしさと合わせて食べるには
しっとりと炒めだれがからまって味のしみた炒め肉のほうに軍配が上がった。

蝦とホタテ貝の炒めもの
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日本人ウケ間違いなしの、シンプルな魚介の炒めもの。
文句なく美味しい。
添えられてくる蝦醤(蝦味噌)にちょちょいとつけて食べると、ますます美味。

石斑魚(ハタの一種)の唐揚げ、豆腐、茸のうま煮
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一度揚げた皮付きの石斑魚をさらに旨味ダレで煮てある。
淡泊な白身魚も、揚げることでコクが出る。

鶏肉の姿揚げ(海老煎餅添え)
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山椒の粉入りの塩をつけていただく。
香ばしい皮とジューシーなお肉。
海老煎餅のパリパリした歯触りが楽しい。

でも、S氏によると、
「留家厨房のほうが美味かった」
とのこと。
留家厨房は、香港でぜひ行きたいと思っていたレストラン。
今回はなんだかんだと振り回されて、ついに行く機会がなくて残念だった。
今度香港に行ったら絶対行くぞ!

野菜もの二品。
芥蘭菜の炒めもの/エンドウ豆の穂先のスープ仕立て
P1070437.jpgP1070438.jpg


観念芸術家のW氏は、
「これが美味いんじゃー!」
とばかりに、芥蘭菜にも蝦味噌をドバドバつけてムシャムシャ食べていた。
さらには白ご飯にまでかけて、米粒をかっこむ。

蝦醤。
香港版、飯の友。
次に行ったらぜひおみやげで買ってこよう。

菠蘿咕嚕肉(パイナップル入り酢豚):$80
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北京で酢豚と言うと、何も野菜が入っていなくて豚肉のみ。
それと比べると、これはだいぶん日本版の酢豚に近い。
甘酢のたれがしっかりお肉にまわっているが、
香ばしさは損なわれていなくていい仕上がりだ。

にぎやかに囲んだ香港最後の食卓。
ご高齢のW氏のお父上に酢豚を取り分け、
同席した香港芸術文件庫のスタッフとグルメな芸術家たちについての話をし、
小朋友とふざけ合ったりしながら、
思いがけない人々との楽しい時は過ぎていった。


(香港マカオ食い倒れ紀行はこれで終わりです。)


■お店情報
香港大学校友会
Room 101, 1F, Yip Fung Bldg., 2 Daguilar St, Central, HK
2522-7968    
お店のホームページ → http://www.hkuaa.org.hk/facilities_lounge.asp(英語)


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色も戒も吹き飛ぶ潮州料理
【データ】とき:11月23日/ところ:香港(上環)・金興飯店/ねだん:?(おごりでした)

(【船屋葡國餐廳A Lorcha】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之四)からの続きです。)

マカオには半日しか滞在しなかった。

ポルトガル料理に舌鼓を打った後は、
マカオ芸術博物館に知り合いの学芸員を訪ね、
彼の案内で館内の現代アート展と19世紀のマカオ風景画展を見た。

疾風怒濤の駆け足観光をした他は、
ぱーっとカジノで散財、いや、ぼろ儲け計画も断念して、
夜8時すぎには香港に戻ってきた。

観光もそこそこに香港へと戻ってきたのには理由があった。
大陸中国では観られないノーカット公開版の『色,戒』を観るためだ。

(この後長々とフェリー移動の話が続くので、
 とっとと料理を見せろ!という方はダダーッと下にスクロールして
 *****の下からお読みください。)

この日の上映最終回は夜9時35分。
翌日北京に戻る予定の私たちには、この回しかチャンスはない。
(早起きが苦手な弟氏の選択肢には、翌日午前の回は入っていなかったようだ。)
この映画がこの日の移動のネックになった。

実は、マカオに向かうフェリーのチケットを買う時に、
私たちはちょっとしたミスを犯していた。
往復でチケットを買ったのはいいが、買ったのは深夜1時の便だったのだ。

例によって細かく予定を立てず成り行きで行動する大陸中国人は、
「マカオでも『色,戒』やってるんじゃないか?」
「おお、きっとやってるよ。じゃあ観てから帰ってくればいいな。」
「なら出来るだけ遅い時間がいい。」
という展開になったのである。

ところが、いざマカオに行って聞いてみると、『色,戒』は上映されていなかった。
さあ、大変だ。
どうあっても夜9時前には香港に戻らなければならなくなった私たちは、
最後まで未練のあったカジノ計画も断念して、
6時過ぎにはフェリーのターミナルに向かった。

「別に買った便に乗らなくてもいいですよ。換えられますよ。」
という窓口の係員の説明を鵜呑みにした私たちは、
すぐに乗船できるものと気軽に考えていたのだが、
結果的にターミナルで1時間半をむなしく過ごすことになる。

実は、「別の便に換えられる」には
「席の空きがあれば」という条件がついていたのだ。
よくよく考えれば当たり前の話なのだが、
(いや、よくよく考えなくても分かるよな、普通・・・)
脳天気な私たちは全く疑問も抱かずにいたのであった。

フェリー乗り場でチケットを購入する時には、基本的に1時間後の便を買う。
イミグレーションでの手続きに要する時間を考えてのことだろう。
しかし、思ったより早めに手続きが済めば、
出来るだけ早い便に乗りたいと思うのは人情だ。
そうしたニーズに応えてか、
自分が買った便でなくても席の空きさえあれば乗船できるようになっている。
するともともと買っていた便にはその分だけ空席ができることになり、
この空席をねらって、また次の「少しでも早い便に乗りたい人」が並ぶことになる。

しかし、お気づきの方もいらっしゃると思うが、
その便にいったいいくつの空席が出来るかは出発時間になってみないと分からない。
20席あるかもしれないし、1席しかないかもしれない。
仮に20席だったとすると、
21番目に並んでいた人は無駄に並んだことになり、
今度は別の便の列に並び直さないといけない。

事実、各便の空席が埋まるやいなやその列が崩れ、
わらわらと人が次の便の列へと移動していく。
その光景が便の出発ごとに繰り返されるのである。

このしくみを知らなかった私たちは、当然ながら最初の便を棒に振った。
むなしくロビーを移動して、まずは次の便の空席待ちの列に並ぶ。
フェリーは15分ごとに出発する。
出発時間の迫った便には当然ながら長蛇の列が出来るし、
少し先の便に並ぶ人はまばらだ。
並んでも座れるかどうか分からない直近の便に賭けてドキドキしながら待つよりも、
少し余裕を見て先の便に並び、列の前のほうを確保すればいいではないか、
と思う向きもあるかもしれない。
しかし、あまり先の便になると、
どこの乗り場から出発するのかが分からないから厄介だ。

ピンチである。
自分の買った便よりちょっと早い便で帰りたいという人ならば、
「だめなら切符通りの便でいいや」となるが、
私たちがチケットを買ったのは深夜1時の便だ。
ターミナルでむなしく夜を過ごすのも気が進まないが、
それより何より、それでは楽しみにしていた映画に間に合わない!

それでも私たちはラッキーだった。
3人分かれて次の便、次の次の便の行列に分かれて並びつつ、
さらに先の便の出発ゲートを探していたら、
運良く1時間後の空席待ちの一番最初に並ぶことが出来たのである。

私たちはここに賭けることにした。
カジノには行かなかったが、とんだ博打である。

そして1時間後、空席待ちの賭けに無事勝って、
私たちはようやく船上の人となったのであった。

教訓。
香港からマカオへ往復する旅行客は、きちんと予定を立てて帰りの便を買いましょう。
もしくは、マカオを出る時に確実に空席のある便を買いましょう。
ゆめゆめ私たちの二の舞になりませんように。 
ならないか、普通・・・

*****

『色,戒』は素晴らしかった。
2時間半以上もある上映時間の長さをつゆほども感じさせなかった。

しかし、とても「傷感(shang1gan3)=もの悲しい」だった。
中国に暮らす日本人にはなおのこと。
日本人と席を並べて銀幕を見つめた中国人にはなおのこと。

「このままじゃ気持ちが沈んで眠れないな。」
「どっかでパーッと飲んで気分を変えないと。」

時はすでに12時をまわっている。
改めてレストランで食事という時間ではない。

「じゃあ、ホテルの近くのあの食堂にしよう。」
「ああ、あそこの料理はなかなかいけるからな。貝の豆チー炒めが美味いよ。」

こうして、映画の余韻に浸りつつ、またその余韻を振り払うべく、
私たちは潮州料理の街角食堂、金興飯店へとやって来たのであった。

*****

割とあっさりした味付けの潮州料理は
香港の人たちにもとても愛されているそうで、
香港には潮州料理を出すレストランがかなりある。
でも高級店かベタなローカル食堂かで両極端。
宿泊先のある上環界隈にはそのベタでローカルなほうの食堂がたくさんある。

ここ金興飯店もまさにそのベタベタ・ローカル系。
廉価で親しみやすい町の食堂だ。

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別行動だった写真画廊経営者のZ氏と合流した我々は総勢4名。
会員制レストランもいいけれど、やっぱりこんな庶民的なお店がほっとする。
お風呂の腰掛けイスみたいなスツールに腰掛け、
年季の入った折りたたみテーブルで、まずはビール。

くーっ!
生き返るねえ。

では、何を食べましょうかねえ。

S氏が立ち上がって厨房にいるおじちゃんにあれこれ注文。

鹵水鵝(ガチョウのタレ煮)
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代表的な潮州料理。
鹵水(ローソイ)と呼ばれる醤油ベースのつけだれにガチョウ肉を漬けてある。
日本語では「タレ煮」と呼ばれるように、煮染めてからつけ置きするのだろう。
八角などの香辛料が利いたつけだれの味がガチョウにしみ込み、いい味だ。

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ガチョウの他にも、卵、豆腐などが定番。

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(これは前日にお持ち帰りしたもの)

バイ貝のボイル
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「海螺(hai3luo2)」と呼んでいたけど、
改めて調べてみたらホラ貝でもサザエでもない。
たぶん、バイ貝(ツブ貝)なのでは?

お店の外の大鍋でゆでてくれる。

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もうすでに味がついているのでそのまま食べてもいいし、
別の炒めものの汁をつけたりしてもまた雰囲気が変わっていい。

韮菜猪紅(豆腐状に固めた豚の血とニラのスープ煮)
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これ最高。
猪紅は、中国語だと「血豆腐(xue3dou4fu)」。
(「血」の発音は、本来は「xue4」で四声のはずだが、なぜかみんな三声で読む。)
箸でつまむとぶるるるんと震え、かじると歯先がぶりんとした張力を感じる。
ゼラチン質なのに、かじりごたえがあるのだ。
これにスープがよく染みていて実に美味。

この血豆腐の下に、ニラが隠れている。
香港あたりのニラは北京や日本で食べるニラよりも大ぶりでしゃんとしていて、
シャキッとした歯ごたえがある。

豆芽韮菜花(もやしとニラの花の炒めもの)
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花と言っても花びらがほころぶ前の固くしまった蕾だ。
北京ではお目にかからないが、
先日行った雲南料理レストランではこの蕾を漬け物にしたものを炒めものに使っていた。
ニラがしっかりした食感なので、もやしのシャキシャキに負けていない。

[虫聖]子炒豆[豆支](オオスダレ貝?の豆チー炒め)
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[虫聖]子(cheng1zi)は、辞書ではアゲマキガイ(マテ貝)だけど、
どう見ても違うよな・・・
たぶんこのオオスダレガイだと思うけど、どうだろう?

やや横長のアサリみたいなしっかりした貝。
中華の炎が演出する、豆[豆支]の旨味と貝の旨味の競演。
中華料理、万歳。

煎蠔餅(牡蠣入りのふっくらお好み焼き)
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台湾ではオアチェン(蚵仔煎)と呼ばれる、小振りの牡蠣入りのふっくらお好み焼き。
卵焼きとかオムレツと訳されることも多いようだが、
小麦粉が入っているようなので、お好み焼きが正確だろう。

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魚醤をつけて食す。
出てきた時にはあまりのボリューム感にひるんだが、
あちこちから箸が伸びて気づけば完食。

白菜の甘酢漬け
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箸休め。
漬け物ですら海鮮の旨味と甘みが入るところが、香港っぽい?
「しょっぱいだけ!」の直球でガンガン押してくる北京の漬け物とは一線を画す。

上環の潮州料理食堂の夜は更けていく。
折りたたみテーブルに並んだ皿が空になり、
隣のテーブルにはビールの空き瓶が6本並んだ。
気づけば、私たちの他に客の姿はなく、
ランニング姿の枯れ木のように痩せたおじさんとコロコロと太って血色のいいおばさんが、
他のテーブルの片付けを始めている。

映画の後のもの悲しい気分も去った。
「ちょうどいい酔い加減だ!さあ、帰って寝るぞ!」
弟氏の一言で、香港最後の夜の宴はお開きとなった。


(【香港大学校友会】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之六)に続きます。)


■お店情報
金興飯店
西環香港西營盤皇后大道西398-400號地舖


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当てずっぽうで葡国菜
【データ】とき:11月23日/ところ:マカオ・船屋葡國餐廳A Lorcha/ねだん:500香港ドルちょっと(マカオの通貨はパタカだけど、香港ドルで払いました。)

(【中国会】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之三)からの続きです。)

個展の開幕式から一夜明け、
すっかりリラックスした一行はこの日マカオに出かけることにした。

香港からマカオへはフェリーで1時間。
画家兄弟は仲良くフェリーの座席シートに落書きなどしながら、気楽に過ごしている。

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(左:兄作品/右:弟作品)

私はと言えば、完成した作品の横でキンキンに冷えた船内冷房に凍えていた。
さらに船体が結構揺れて、軽く船酔い。

後で知ったのだが、香港-マカオ間のフェリーには大型船と小型船があって、
大型の船体だと波の影響を受けて揺れやすい。
船酔いが心配な人は、小型の船体を選んで乗るといいのだそうだ。
(実際、帰りは小型船でまったく問題なかった。)

前日バタバタしてSさんにマカオのおいしいレストランを聞きそびれたことに気づいた私は、
船内からSさんに電話してお店情報を入手。
おまけに予約までしていただいて、おんぶにだっこ。
Sさん、本当にありがとうございました。

教えていただいたレストランは、船屋葡國餐廳。

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ポルトガル語の店名はA Lorcha(ア・ロルシャ)だ。

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ここはマカオ人とポルトガル人ハーフのご主人が経営する、
ポルトガル・マカオ料理のレストランである。

が、
「船屋っていうレストランが美味しいですよ。」
とSさんから教えてもらった時は、
なんとなく海鮮割烹料理屋を想像してしまった。
だって、船屋(ふなや)だもん。

「このレストランまで行ってください。」
マカオのフェリーでタクシーの運転手さんに店名を告げると、
「ほいきた!」
と(は言わなかったが)直行してくれた。
タクシー運ちゃんならまず知らぬ人のない有名店なのだと言う。

店内は席待ちで行列が出来るほどの混雑。
予約の時間からちょっと遅刻してしまった私たちは、
ほんの少しだけ待たされ、それでも無事に席を用意してもらうことができた。

P1070393.jpg


席は無事確保できたものの、オーダーする段になってはたと困った。
私としたことが、ポルトガル料理の予習をするのを忘れてしまったのだ。

一体何を頼んだらいいか皆目検討がつかない私たちは、
とりあえず一人一品ずつ気になる料理をオーダーすることにした。

( )内は後から調べてみたポルトガル語の料理名。
たぶん合っている・・・と、思う。

ただ、写真を撮る時にモード設定を間違ってしまい、
なんだかのっぺりした写りになってしまった。
あんまり美味しそうに見えないけど、
味は抜群だったのでどうか脳内補完して見てください。

海鮮リゾット(Arroz de Marisco)
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「やっぱり海鮮だろ?」
と弟氏がオーダー。
大ぶりの蟹、ムール貝、蝦がふんだんに入った薄いトマトベースのリゾット。

これ、かなり美味。
北京で美味しいイタリアン・リゾットに出会えない私にとっても、
涙もののリゾットだった。

「海鮮飯」っていう広東語名が泣かせるが。

干し鱈とタラのグラタン(Bacalhau com Natas)
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「なんだか分からんけど行ってみよう!」
とカジノでもないのに一発勝負の賭けに出たS氏のオーダー。

後で調べてみたら、思いっきり代表的なポルトガル料理だった。
クリームソースのグラタンなんて、久しぶりに食べた。
ちょっと塩気の利いた干し鱈とほくほくポテト、そして甘みの出たオニオン。
それにとろーりチーズがからむ。
お焦げの香ばしさもまたいい。

ただし、チリチリに熱いので火傷に注意。

豚肉とアサリのアレンテージョ風(Carne de Porco a Alentejana)
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「豚肉とアサリの料理があったはず!きっとこれ!」
と山を張って私がオーダー。
でも私が思っていたのとは違っていて、山はハズレ。
ただしお味はアタリ。
ニンニクと白ワイン、オリーブオイルに豚肉とアサリの出汁がとけ込んでいる。
添えられてくるイチョウ型のポテトにソースをからめて食べるとまた美味。

これも後で知ったが、ものすごく有名なポルトガル料理だった。

実は、すっかり食べ終わる頃になってまわりのテーブルを見回し、
「ああ、タコのマリネ!」
「蛤のワイン蒸し!」
「あのシチューみたいなのも美味しそう!」
なんて、心に後悔の嵐が吹き荒れていたのだが、
どうやらそんなにしぼむことはなかったようだ。

これにサラダと白ワインを1本プラス。

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なんとサラダも土鍋入り!このへんがマカオ風?

画家仲間の間でも食道楽で知られる弟氏が、
「うん、この店は美味い!」
とかなりの高評価を出し、
私がもらってきて渡したお店のネームカードを大事そうにバッグにしまった。

香港に帰ってからも、
「マカオのポルトガル料理がよかった」
と人に会う度に繰り返しているのを見るにつけ、
別に自分が見つけた訳でもないのに、
なんだか鼻が高いような思いのする私だった。


【おまけの澳門疾風観光録】

駆け足ながら、一応観光も。

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大三巴牌坊(セントポール大聖堂)

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保衛大砲台的老狗在崗上睡覚

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大砲台(モンテの砦)

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S氏命名、「巨大麦の穂」。
スタンレー・ホーの新カジノ「グランドリスボア」

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議事亭前地(セナド広場)行きそびれた~


(【金興飯店】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之五)に続きます。)


■お店情報
船屋葡國餐廳
澳門河邊新街289號地下
289 Rua do Almirante Sergio
+853 2831 3193
媽閣廟の近くです。


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会員制レストラン「チャイナクラブ」潜入記
【データ】とき:11月22日/ところ:香港(中環)・中国会(China Club)/ねだん:?(おごりでした)

(【紫荊海鮮酒家】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之二)からの続きです。)

yukidarumaさんとの上海蟹ランチを終え、
ユニクロやら無印良品やら海港城やらをうろついて買い出しをすませ、
(狂ったように和ものの酒のアテを買いまくってしまった。バカ・・・)
「香港来たからには乗っとかないと」
とスターフェリーに乗って香港島に戻る。

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中環にある画廊では、個展の開幕式の準備がすっかり整っていた。

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サンドイッチや春巻きをつまみ、赤ワインを飲みながら歓談。
北京から来た美術雑誌の編集者、画廊経営者とも顔を合わせる。
前日ともに食卓を囲んだW氏、I女史の姿も見える。

私も香港在住のSさんにお声がけした。
ライター仕事でいつもお世話になっている編集者さんだ。
ほぼ一年ぶりの再会。

あれやこれやと積もる話をするうちに、時はあっという間に過ぎる。
赤ワインのグラスが二つ空になり、トイレにも一度立った頃、
「さて夕食でも・・・」
という話になった。

余談だが、香港でオフィスビルのトイレに入るには鍵が必要だ。

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ビルテナントから鍵をもらわないと、トイレに入れないしくみになっているのだ。

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盗難予防のため?
今回初めて知った、香港の掟。

会食の顔ぶれは、画廊のスタッフ3人、S氏、弟氏、W氏、I女史、Sさん、そして私。
さらに、yukidarumaさんにも声をかけた。

中国人の会食は参加メンバーのくくりがとてもおおまかだ。
その場の成り行きで同席することになった人がいても、
そんなに目くじらを立てられたりしない。

なんだか分からないけどくっついてきた日本人だって、
その日本人が誘った知り合いだって、
たいていの場合はウェルカムだ。

だから食卓を囲んでみると、
あら、見知らぬ顔がだいぶまじってる・・・てな具合になることも多い。
でもだからこそ、こうして人間関係は広がっていく。

ところで、この日「そろそろ夕食でも・・・」と連れて行かれた先は、
とても特別な場所だった。

「どこで食べるの?」
「中国会。」
という会話に弾かれたようになったSさんの様子からも、
その特別さがうかがえた。

「中国会に行くんですか?」
「うん、そう。」

聞き返すSさんに対して、S氏はいたって平静な口調で答える。
私もSさんが何故瞳を輝かせているのか分からない。

そんな私に、Sさんが説明してくれた。
「中国会は、上海灘(SHANGHAI TANG)のオーナーがやっている会員制のレストランで、
 滅多なことでは入れないんですよ。
 会員枠が決まっていて、誰か退会しないと入会できないんです。」
香港在住10年以上のSさんも、入るのはこれが二度目だと言う。

私の方は至ってのんきなものだったのだが、この説明を聞いて俄に興奮する。
現金なものだ。

旧中国銀行ビルの13階から15階に作られた中国会(China Club)は、
中環の摩天楼のまっただ中にある。
拍子抜けするくらい狭い入り口からエレベーターで昇っていくと、
そこにはオールド上海の世界が広がっていた。

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内装、インテリア、調度品、ファブリック、食器に至るまで
すべて上海灘(SHANGHAI TANG)のオーナー、ディビッド・タンの趣味で統一され、
階段の壁には現代アートのコレクションが飾られている。
そこにはI女史のインスタレーション作品の写真もあった。
撮影はW氏の手になると言う。

アート作品を収集する香港の有名ブランドオーナーの店で、
作品を収集されたアーティストたちと囲む食卓。
またもや不思議な展開になってきた。

この中国会で食べた料理は・・・・

と紹介して行きたいところだが、何しろ店内が暗かったし、
会員制レストランで写真を撮るのはやはり憚られたので、
残念ながら料理の写真はない。

詳細はこちらをご覧いただくということで、お茶を濁すしかない。

▼All Aboutの関連記事
会員制なだけに、一度は入ってみたい!? 香港の会員制「チャイナクラブ」

お料理はいたってシンプルな中華料理だった。

ざっと食べたものを列記すると、
・ウオスン(セルタス)と干しエビの和えもの
・揚げたスズキと野菜のとろみあんかけ
・もやしと豚肉の炒めもの
・魚香茄子
・北京ダック
・ダック肉入りのじっくり煮込みスープ
・エンドウ豆の穂先の蟹あんかけ
・鶏肉のスパイシー唐揚げ
・骨付き蒸し鶏のあんかけ
・蘭州拉麺
・マンゴープリン
・楊枝甘露
・沙淇瑪(水飴がしみしみの中華風おこし)らしきお菓子。

大絶賛するほどとびっきり美味しいというほどではないが、
どれもとても上品に仕上げてあって美味だった。

もやしと豚肉の炒めものと、揚げたスズキのあんかけが好みの味付け。
そして北京ダックがパリパリでとても素敵だった。
(北京から行ったのにわざわざダックっていうのも何だけど。
 でも香港で食べる北京ダックのほうが、パリパリと香ばしく焼けているように思う。)

デザートは今ひとつ。

蘭州拉麺は大陸の男たちに大好評。
お代わりの声がテーブルのあちこちから飛んだ。
どばどば黒酢を入れて食べているのが北方中国らしくて微笑ましい。

残念ながら、麺打ちパフォーマンスは見なかった。
そんなパフォーマンスがあるなんて知らなかったのだ。

最後にフォーチュン・クッキーが出されて、中国会の宴は終了。
(ちなみに大陸中国のレストランで出されたことはない。)
私のクッキーに入っていたのはこんなおみくじだった。

P1070454.jpg


「不妨到外地遊玩,会令自己的心情開朗。」
(気晴らしに、どこかよそに遊びに行ってみては?)

まさに!
未来を先取りしちゃったね。
気分、晴れ晴れ。

さて、料理の写真は撮れなかったけれど、
15階にあるテラスからの夜景は写真に収めることができたので、
それを何枚かアップすることにしよう。

P1070363.jpg


対岸から眺める夜景もいいが、
こうして摩天楼のまっただ中から見る夜景もまた趣き深い。

P1070362.jpg


「ひゃー、中国銀行ビルがこんなに近くにあるーっ!」
yukidarumaさんが歓声を上げた。
いつもは土瓜湾の稽古場から遠くに望む中国銀行ビルが
今は手に届くほどの至近距離にあるから、
と彼女は説明した。
北京で演劇を学び、香港でお芝居を続ける彼女。
そのバイタリティー、行動力、情熱に、私はいつも頭が下がる思いだ。

「ここからも、私の稽古場見えたりしないかな。」
そうつぶやいてシャッターを切る彼女に、そっとエールを送った。

その中国銀行ビルの上に、月が輝いていた。

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(【船屋葡國餐廳A Lorcha】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之四)に続きます。)


■お店情報
チャイナクラブ(中国会)
中環銀行街旧中国銀行大廈13階から15階
2521-8888
(会員制。会員の方と一緒に入ってください。)


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何はなくともやはりコレ!
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【データ】とき:11月22日/ところ:香港(洋葵楼)・紫荊海鮮酒家/ねだん:173.5香港ドル

(【記酒家】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之一)からの続きです。)

北京からはるばるお持ち帰りした麻豆腐だが、
結局その日のうちにyukidarumaさんに手渡すことはできなかった。

芸術家たちとの会食は11時近くまで続き、
初対面の人に会う緊張と香港までの移動が意外な疲れになってたまったらしく、
その後yukidarumaさんに会いに出かける気力がなくなってしまったのだ。

翌日、麻豆腐を携えてバスに乗り、海底トンネルをくぐって九龍サイドに出た。
yukidarumaさんのいる土瓜湾方面へと向かうためだ。

101のバスを洋葵楼で降り、迎えに来てくれたyukidarumaさんと再会。
麻豆腐も無事彼女の手に渡り、義務を果たしたようでほっと一安心する。
午後からは予定があるという彼女と、バス停の近所で食事を摂ることになった。

場所は紫荊海鮮酒家。
せっかく香港に来たのだし、何はなくともやはり飲茶?
それに上海蟹も食べたいし。

そう、上海蟹。
昨年のこの時期に香港に来た時には、
市場で蟹を買い込んで、
yukidarumaさんの稽古場のテラスで夜景を眺めながら蟹をむさぼった。

▼テラス蟹の様子はこちらから。
大閘蟹でポンポコリン~その壱
大閘蟹でポンポコリン~その貳

その爽快さと美味しさ忘れがたく、
「テラス蟹再び!」と意気込んでいたのだが、どうやら今回はムリそう。
せめて上海蟹を食べる行為だけは実現しようということになった訳だ。

それにしても、飲茶のメニューって分かりづらい。
まとめて一つのメニューに書かれてなくて、
同じような内容の紙が何枚も何枚もある。
いったいどれを見たらいいんだ?と頭を抱えてしまう。

yukidarumaさんに助けてもらってなんとかオーダー終了。
頼んだ料理は、なんともスタンダードなラインナップとなった。

芥蘭度蝦餃皇(大):9.8香港ドル
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大定番の蝦餃子。

蒜茸蝦春巻(中):7.8香港ドル

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春巻き。
冷めてた!許せん!

香脆叉焼酥(中):7.8香港ドル
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香港のチャーシューは甘い。
慣れないとしっくりこないが、慣れればそれもまた美味。

潮州蒸粉果(小):5.8香港ドル
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上新粉の皮で賽の目野菜やお肉を包んだ点心。
ほのかにカレー風味。

迷イ尓珍珠鶏(大):9.8香港ドル
P1070272.jpgP1070273.jpg


蓮の葉に包まれた粽。
キッチンペーパーでくるんであった。
芸が細かいねえ。

楊枝甘露(中):7.8香港ドル
P1070269.jpgP1070281.jpg


去年大騒ぎして食べた楊枝甘露
今年はそれほどの情熱もなく、淡々と食す。

[虫豪]仔肉砕泡飯(碗):18香港ドル
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これ!小振りの牡蠣がふんだんに入っていて、豊かなお味。
干し貝柱からも旨味がしみ出し、
そこにさりげなく散らされた揚げ葱が香ばしさを添えている。
さらりとした雑炊なので、気づけば何度もお代わり。
危険な一品。

大閘蟹(二杯):59.6香港ドル
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オス。
むっちりした橙色の味噌と、ねっとりした白い精巣。

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私はオスのほうが好きかもなあ。
ししゃもも卵にはあまり興味ないし。

このお値段だとたぶん正真正銘の陽澄湖産ではないかもしれないが、
いいんである。
私に上海蟹の味が食べ分けられるはずもなし。
なんにしても、これで今シーズンも無事一杯は食べたことになって満足なのであった。

でもテラス蟹には未練が残る~。
来シーズンこそ!


(【中国会】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之三)に続きます。)


■お店情報
紫荊海鮮酒家
葵涌葵芳葵義路葵芳閣二樓(葵芳地鐵站B出口)
2693-2278


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ローストグースを噛みしめる夜
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【データ】とき:11月21日/ところ:香港(中環)・記酒家/ねだん:?(おごりでした)

【記酒家】香港マカオ食い倒れ紀行(プロローグ)からの続きです。)

今回個展が開かれた画廊からほど近いところにある記酒家は、
ローストグースとピータンが有名なレストラン。

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今度香港に行くにあたっておいしいレストランはどこかを尋ねた香港在住経験のある方からも、
名前の挙がっていたレストランだ。
今さら私が紹介するまでもない有名店である。

お店の外からは厨房にぶら下がるローストグースやチャーシューなどが見えて、
香港気分が盛り上がる。

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トットットッと階段を上がって二階に行くと、そこには長蛇の列が出来ていた。

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人気店なのである。

S氏の姿が見えた。
「おお!来たか来たか!」
「これ、並んでるの?」
「そう。もう30分くらいになるかな。」
磊落に笑って、私に番号札を見せた。

ふと気づくと、S氏の隣に不思議な風貌の男性と西洋人女性が立っている。
「あ、この人はWさん。で、こちらが奥さんのIさん。」
「あ、どうも。」

握手をしながら豪快に笑った男性は、
長髪を束ねてちょうど道教の道士のように後ろにまとめ、
これまた長く伸ばしたひげを細い三つ編みにして垂らしていた。
鼻にはサングラスが乗っている。

「Wさんは観念芸術家なんだよ。Iさんも芸術家。アイスランド人なんだ。」
コンセプチュアル・アートっすか。

聞けば、W氏はS氏の弟氏が出た大学の同窓生だと言う。
アイスランド、ドイツ、中国、香港あたりを行き来して芸術活動をしているんだとか。
ちなみにW氏は、フィラデルフィア美術館にあるデュシャンの「泉」で小用を足し、
レディーメイドのアートに本来の機能を再度もたせたという強者である。

今回香港に来たのは、「鍼を打ちに来た」とかで、なんともグローバルな行動範囲だ。
S氏とは約束していた訳ではなく、たまたま画廊に顔を出して会い、
「一緒にメシでもどうだ?」
ということになったのだそうだ。

中国人と行動していて面白いのは、
こんな風に急に予定が決まったり、変わったりすることだ。
彼らは徹底的に当日主義でその場主義だ。
ゆるゆるにしか予定を決めず、その場で臨機応変に対応していく。
それはいい加減と表現することもできるし、フレキシブルと表現することもできる。

でも、思いがけない出会いと経験が出来るという意味では、
こちらのほうがエキサイティングであることは間違いない。
香港第一夜の食事が道教信者みたいな奇妙な風貌のアーティストと
アイスランド人の女性と一緒だなんて、
朝北京で豆汁をすすっていた時には夢にも思わなかったことだ。

S氏が個展を開いた画廊は、
中国の現代アートをいち早く世界に向けて発信したところで、
画廊の面積の小ささとは対照的にその影響力は巨大だ。
ここは中国メインランドのアーティストの香港での拠点のようになっていて、
様々なアーティストが入れ替わり立ち替わり出入りする。

W氏もこの画廊の常連でよく出入りするそうだ。
この日は画廊にあった赤ワインを4本も空けたとかで、すっかりご機嫌さんになっていた。

中国人アーティスト3人、アイスランド人アーティスト1人、
そしてただの日本人食いしん坊1人は、
なぜか一緒に記酒家で席が空くのを待っている。
これも何かの縁だろう。

30分ほど待って、ようやく席が空いた。
やれやれと席につくと、目の前には肉加工品の壁が広がっていた。

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私は肉加工品が好きだ。
ハム、ソーセージの類に目がない。
小学生の頃、「大どろぼうホッツェンプロッツ」という本で、
大魔法使いツワッケルマンの厨房の挿絵を見て以来、
壁一杯にぶら下がる肉加工品に憧れていた。
ドイツのデリカテッセンや、スペインのバルなんかに行ったら、
きっと狂喜のあまり小躍りしてしまうことだろう。

思わず壁に目を奪われる。
いやいや、いけない。
今日はこちらではなく、ローストグースを食べに来たのだった。
それに、この食卓はI女史のおごり。
出された料理を美味しく食べておしゃべりを楽しむことに集中しよう。

まずはこれ。
記酒家の名物のうちの一つだ。

特製皮蛋酸姜(ピータンしょうが)
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北京でももちろん皮蛋はあるが、
こんな風に甘酢漬けのしょうがと共に供されるのは見たことがない。
北京のにもしょうがはついてくるが、ただの細切りだ。

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この皮蛋が素晴らしかった。
私は実は発酵の進んだ皮蛋の臭みが苦手で、黒酢がないとちょっと厳しい。
ところがここの皮蛋は、うるうるしていて、まろやかで、とろりとしていて、
舌にまとわりつくような質感でありながら、
いやな臭みがなくてとても食べやすい。

もともと臭い皮蛋好きには物足りないかもしれないが、
このマイルドさが私にはまさにストライクゾーンだった。

金牌焼鵝(ガチョウのロースト)
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ローストグースである。
ダックじゃなくてグース。
ガチョウである。
金牌と冠がつくだけあってこれがこのお店の名物。

・・・なんだけど、これはちょっと期待が大きすぎたのか
思ったほどの美味しさではなかった。
もう少ししっとり感を残して仕上げたほうがいいと思うんだけど。

甘い梅のソースもいいけど、私は醤油+胡椒のほうが合っていたかな。

そのまま食べるより、ご飯のっけにしたほうが美味。

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本当は
「お店で食べると高いからチャーシューや卵と一緒にお持ち帰りしたほうがいい」
というアドバイスをもらってたんだけど、
こんな展開だったのでそれは断念。
店内にテークアウト売場があるようなので、
待たずに手っ取り早くグースだけ食べたいって人はこっちのほうがオススメらしい。

さて、後はもう正式メニュー名も不明なので、
とんとんと写真で紹介していこう。

揚げた卵豆腐ときのこのうま煮
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卵豆腐をこんな風に炒め煮にするのは、中国でしか見たことがない。
なぜか「日本豆腐」と呼ばれる卵豆腐だが、調理法は中国オリジナルだ。

茄子と蟹肉の炒めもの
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オーダー担当のI女史が「大丈夫?おいしい?」ととても気にしていた。
美味しかったですよ!

厚揚げ豆腐
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西湖牛肉羹(牛ミンチのスープ)
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胡椒を振るのがここのスタイルらしい。

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白身魚と野菜のソテー
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これがガルーパなのか?
淡泊で食べやすいお魚。

揚げワンタンの甘酢あんかけ
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ワンタンにも蝦入り。
あんはちょっと甘め。

ゴマ団子
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久しぶりに食べたゴマ団子。
黒ごまあんが美しいですねえ。

ところで、香港では2007年1月1日から公共の建物内で禁煙。
ヘビースモーカーのW氏、弟氏はしばしば中座して外へタバコを吸いに出かけた。
ずっとI女史の通訳代わりを勤めるW氏が席を外すと、
残されるのはS氏と私。
英語は本当にカタコトのS氏だから、通訳の役は自然に私に回ってくることになる。

I女史が話す英語を私がなんとかかんとか汗をかきながら中国語に訳すと、
S氏がカタコトの英語を交えた中国語で返す。
すると私がしどろもどろで英語にするより先に
ちょびっとだけ中国語が分かって(そしてたぶんとてもカンのいい)I女史が
すぐに意味を悟って次の会話に移り、
それをまた私が中国語にすると、
S氏がヘンチキリンな英語+中国語で答え・・・
という奇妙なサイクルで会話は進んだ。

S氏は臆せずどんどん話す。
言えないことがあっても、中国語と身振り手振りでガンガン押していく。

私は秘かにS氏にシャッポを脱いだ。
S氏にとっては「英語が話せない」ことよりも、
「I女史と話したい」ことのほうが優先だ。
だからヘンチキリンな英語になることをこれっぽっちも恐れていない。

確かに、S氏よりも私のほうが英語ができる。
でも、I女史がもっと話したいと思う相手は、間違いなくS氏のほうだろう。

ローストグースを噛みながら、そんな思いも噛みしめた香港の第一夜だった。

(【紫荊海鮮酒家】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之二)に続きます。)


■お店情報
記酒家(ヨンキーレストラン)
中環威霊頓街32-40
32-40 Wellington Street, Central, Hong Kong
2522-1624
お店のページ → http://www.yungkee.com.hk/profile/profile-j.html


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麻豆腐を買い込んで向かった先は、香港。

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特別大好きという訳でもないのに、なぜだか結構来ている香港。
いや、なぜなのかは分かっているんだ。
それは北京留学時代からの友、yukidarumaさんがいるからなのね。

麻豆腐はつまり、yukidarumaさんからの指令を受けて、
行政特区越えの「帯走(dai4zou3)=お持ち帰り」を試みたのであった。

でも、別に麻豆腐をお届けするためだけに香港入りをしたのではない。
今回は、ある画家の個展にひっかけての香港訪問だったのである。

北京空港を共に飛び立ったのは、個展を開く画家S氏、S氏の弟氏、そして私の三人。
さらに一日早く香港入りしたアート雑誌の編集者と、
一日遅く香港入りする写真作品の画廊経営者を合わせると、
総勢5人がこの個展に合わせて香港に行くことになっていた。

ちなみに私を除けばみんな大陸中国人。
香港と大陸中国との行き来は、だいぶん便利になったものだなあと感慨を深める。
もちろん、パスポートさえあれば特に申請の必要もない私と違って、
彼らには「港澳通行証」という冊子の申請取得が必要なんだけど、
その代わり香港でもマカオでもイミグレーションでは書類記入免除だし、審査も簡単。
逆に私のほうの審査に時間がかかって彼らを待たせる始末で、
「一国両制(一国二制度)」とはいえ、やはり「一国」であることに違いはないのだ、
と改めて実感したことだった。

ところで、麻豆腐を香港行政特区へと持ち出した私も私だが、
S兄弟のほうはもっと豪勢だった。
なんと、画廊のスタッフへの手みやげに、陽澄湖産の上海蟹を持って行ったのだ。
しかもこの上海蟹、
香港行きの前日に蘇州からS氏が北京まで運んできたものだという。
上海蟹ちゃんたちは陽澄湖から蘇州へ運ばれ、
そこから空路北京へ、さらに空路香港へと、
なんとも長い空の旅をしてきたことになる。

「この蟹たち、大旅行家だね。」
「乗り換え続きで飛行機酔いしてるんじゃないの?」

なんていう軽口をよそに、香港空港で受け取った蟹ちゃんたちは、
クチュクチュと元気にうごめいていたのであった。

上環にある華美達(Ramada)に宿を取り、
まずは画廊へ挨拶に行くと上海蟹を抱えて出かけていったS氏を待ちがてら休憩。
私のほうも北京から空輸した麻豆腐をミニ冷蔵庫にしまってほっと一息ついた。

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しばらくしてS氏より電話。
「みんなで食事するから、レストランに直行して!」
向かった先は記酒家だった。

【記酒家】香港マカオ食い倒れ紀行(之一)に続きます。)


■香港マカオ食い倒れ紀行
香港マカオ食い倒れ紀行2007(プロローグ)
【記酒家】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之一)
【紫荊海鮮酒家】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之二)
【中国会】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之三)
【船屋葡國餐廳A Lorcha】香港食い倒れ紀行2007(之四)
【金興飯店】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之五)
【香港大学校友会】香港マカオ食い倒れ紀行2007(之六)


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豆汁
豆汁(dou4zhi1)
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【データ】とき:11月21日/ところ:長虹橋東・門釘李/ねだん:1元

老北京(生粋の北京っ子)は、豆汁を好んで口にする。
中国人でも飲めない人も多いクセのある飲み物で、
豆汁はいわばチャキチャキの北京っ子のバロメーターとも言える。
「これが飲めれば北京人。」と言われる所以だ。

饐えたような酸っぱい匂いと、
ブクブク泡の立った灰汁みたいな見た目のこの飲み物は、
そのクセの強さで人を拒絶する、ある意味孤高の存在である。

▼過去の豆汁関連記事
後海・北京小吃紀行~豆汁

門釘肉餅を注文したついでに、
「あ、それから豆汁もください。」
と言ったら、店員さんにこう念を押された。
「飲めますかあ?」

ふふふ。
大丈夫、大丈夫。
こう見えても結構、好きなのだな。

運ばれてきた門釘李の豆汁は色もそれほどどぎつくなく、
あぶくも立っていないマイルドな豆汁だった。
お味のほうもクセが少なく、酸っぱさもほんのりとしていて嫌みがない。

往時、肉体労働者たちが喉の渇きや疲れを癒すために飲んだという豆汁。
今のように食事の際にスープのようにして飲むのではなく、
ドリンクとして飲まれていたのだろう。
そう、ちょうど「小売部(xiao3mai4bu4)=売店」で
「酸[女乃](suan1nai3)=ヨーグルト」なんかをちゅちゅっと飲むみたいに。

ちょっとどろりとして小腹満たしにもなる豆汁は、
晩ご飯までお腹をつないで
「あと一息頑張ろう!」と気持ちを奮い立たせるものでもあったのだろう。

そんな思いにふけりながら、店内を眺める。
開店早々の門釘李では私たちの他に客はなく、
店員さんたちは床掃除に余念がない。

窓の外を、猿回しの老人が近づいてきた。
北京で猿回しとは珍しい。

風と土埃よけの幅広のビニールすだれがかかった門釘李の門前で、
老人はしばらくの間たたずみ声がかかるのを待っている。
店員たちは視線を上げもせずにモップを黙々と動かすだけで一向に相手にしない。

それを見るとはなしに見ていた私は、窓辺の豆汁に目を移した。
窓越しに朝の光を浴びて、豆汁が輝く。
通りの木々の影が映り込んだ表面が美しく、私はデジカメのシャッターを何度か切った。

P1070221.jpg


猿回しの老人はあきらめて、門前から離れた。
窓際を通り過ぎようとしていた老人が、豆汁にカメラを向けていた私をめざとく見つけた。

「しまった。」
彼はカメラを構えた私を、猿回しの客と見込んだらしい。
私のほうに視線を向けて、てこでも動かぬといったそぶりで立っている。

私は身を固くして、もう二度と猿と老人に視線を戻さない。
彼らのことなど意に介さないような素振りで、肉餅をかじり、豆汁を飲んだ。

しばらくして、猿回しの老人は去った。

私はほっとしたような申し訳ないような心持ちになって、急いで豆汁をすすった。

*****

さて、朝っぱらから門釘李にやって来たのには訳がある。
麻豆腐を買うためだ。

麻豆腐(ma2dou4fu):10元
P1070222.jpg


▼過去の麻豆腐関連記事
後海・北京小吃紀行~麻豆腐

この麻豆腐を携えて、私はこの日あるところへと旅だったのである。


■お店情報
門釘李
長虹橋から東へ向かい、団結湖マクドナルドの反対側。
道の南側にあります。


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牛肉入りの中華風ミニミートパイ
門釘肉餅(men2ding1rou4bing3)
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【データ】とき:11月21日/ところ:長虹橋東・門釘李/ねだん:1個2.5元

中国には「○○餅」という食品がたくさんあるが、
これは日本で言うお餅のことではない。

これまでも何度か書いてきたが、
中国語の「餅(bing3)」は、
「小麦粉をこねて薄く円盤状に伸ばし、平鍋で焼くか蒸すかした食べ物の総称」
(講談社、中日辞典より)

だからピザも「比薩餅(bi3sa4bing3)」だし、
「煎餅(jian1bing3)」はお米のおせんべいではなくて小麦粉を使った中華クレープだし、
「焼餅(shao1bing3)」も焼いたお餅ではなくて中華風の焼きパンである。

「肉餅(rou4bing3)」は、
小麦粉をこねて伸ばした生地にお肉の餡を包み込んだり挟んだりして焼いた物。
それで私は中華風ミートパイなる苦しい訳語にしている。

▼過去の肉餅関連記事
【平安肉餅店】肉餅
【鑫一福粥舗】肉餅

肉餅にもいくつかヴァージョンがあるが、この門釘肉餅もその一つ。
丸い形のやや小振りのサイズで、中味はたいてい牛肉と葱が入っている。

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「門釘」とは、古い建物の城門などに打ち込まれた円形の飾りクギのことだそうだ。

なんでこの名があるかと言うと・・・

清朝末、宮廷の料理係が西太后のために、具のたっぷり入った肉餅を作った。
たいそう気に入った西太后に「この料理の名前は?」と聞かれ、
肉餅の形からとっさに「門釘肉餅です」。
これがそのまま定着したという。
発音は同じで「門丁肉餅」とも書く。

なーんて、えらそうに蘊蓄を垂れているがこれはこの新聞記事からの引用。

▼朝日新聞の門釘肉餅紹介記事
五輪出場?北京伝統の味 門釘肉餅(メンティンロウピン)(中国)

牛肉が使われているのは、清朝ゆかりの食べ物だからだろうな。
門釘肉餅を扱っているお店は、どこも「清真(qing1zhen1)=ムスリム」だ。

朝日新聞の記事で紹介されている門釘李と、私が行った門釘李はたぶん別のお店。
紹介されているのは車公庄にあるお店のほうだろう。
私が行ったのは長虹橋の東にあるお店。

この店がまた、メニューがこれっきりしかなくて潔い。

P1070212.jpg


「これ以外にもほんとはあるんじゃ?」
って思うでしょ?
でも、ほんとにこれしかないのだ。

ここんちの肉餅は注文が入ってから包んで焼くので、ちょっと時間がかかる。
私が食べた時も、ほかにお客さんがいなかったにも関わらず
たっぷり10分以上かかった。

待っているうちに気持ちは盛り上がるが、
出来上がってテーブルに運ばれてきても焦ってかぶりついてはいけない。
肉餅に歯を当ててあぐっといった途端に、
ドピュッと肉汁が飛び出してくるのだ。

かと言って、いつまでも放っておいてもいけない。
牛肉の脂が白く固まってしまって、食欲がわかなくなってしまうからね。

これには粟のお粥を合わせよう。

小米粥(xiao3mi3zhou1):1元
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雑穀粥は素朴な味で大好きだ。
少し味気なく感じたら、「咸菜(xian2cai4)=漬け物」を頼むといい。

門釘肉餅に小米粥。
うーん、ローカル&ディープ。


■お店情報
門釘李
長虹橋から東へ向かい、団結湖マクドナルドの反対側。
道の南側にあります。


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香菜、押し豆腐の煮染め、落花生の和えもの
香茜鹵干拌花生(xiang1xi1lu3gan1ban4hua1sheng1)
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【データ】とき:11月19日/ところ:団結湖・圓苑酒楼/ねだん:26元

香菜と押し豆腐の煮染め、それから落花生を和えた料理。

香菜は中国語でも「香菜(xiang1cai4)」なんだけど、ここでは「香茜(xiang1xi1)」。
(あ、香菜はそもそも中国語か・・・
 日本だとコリアンダーと呼ばれるのかね?
 パクチー?いやこれはタイ語・・・)

どうやら香港ではこう呼ばれているらしい。
上海でも「香茜」って言うのかな?
それとも広東語表記してちょっと気取ってるのかな?

醤油とごま油がベースの味付けに、香菜の香味を利かせて一癖つけてある。
押し豆腐の煮染めと落花生という組み合わせは、ありそうでなかなかなくて面白い。

炒めものや煮物みたいに
箸でワシッとつかんだり、レンゲでザクッとすくったりして食べる料理の間に、
こういうちょこちょこ箸先でつまむような前菜が挟まると、
料理を食べるという音楽全体のリズムにアクセントがつき、変化が生まれる。

前菜は序曲であると同時にまた、
楽しい「小挿曲(xiao3cha1qu3)=間奏曲」でもある。


■お店情報
圓苑北京分店(圓苑酒楼)
朝陽区東三環路団結湖公園16号(西門南側)
6508-2202


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茄子の魚香ソース煮込み
魚香茄子[保の下に火](yu2xiang1qie2zibao3)
P1070188_20071129132413.jpg

【データ】とき:11月19日/ところ:団結湖・圓苑酒楼/ねだん:28元

上海料理屋なのに魚香ものも何かと思ったけれど、
美味しかったのでやっぱりエントリーしておこう。

魚香(yu2xiang1)と言えば、四川料理でよく使われるソース。

▼過去の魚香肉絲関連記事
【四川省駐京弁餐廳】魚香肉絲

独特の旨味があり、またそれほど辛くないこともあって、
日本人のファンもかなり多い。
中国でもファンは多いようで、
四川料理のレストラン以外でもかなりの確率で見かける。
上海料理のレストラン、圓苑も例外ではなかった。

「魚香茄子(yu2xiang1qie2zi)」は、
茄子の細切りと挽肉を炒め魚香ソースで味付けしたもの。
これに「[保の下に火](bao3)」がついたこの料理は、
さらに土鍋でちょっと煮込んだような形になっている。
まあ、ただ単に土鍋に盛りつけてあるだけかもしれないけど。

単なる炒めものよりはソースがややたっぷりめだ。
とろみのついた魚香ソースは、焦って口にすると火傷するくらいアッツアツ。

メニューを見ていた時からいち早く目を付けていた友人がさっそく食べて、
「これおいしー!」
と声を上げた。

甘みのついたお醤油味にぴりっと唐辛子の辛みが利いているあたりが、
しかもこの辛みがあくまでちょびっとなところが、
実に的確に日本人の味覚のツボにはまる。

これは白いご飯にかけてガツガツいきたいところですな。
と言うか、これと白ご飯だけで十分かも。


■お店情報
圓苑北京分店(圓苑酒楼)
朝陽区東三環路団結湖公園16号(西門南側)
6508-2202


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細切り干し豆腐のスープ煮
金牌煮干絲(jin1pai2zhu3gan1si1)
P1070186_20071129132311.jpg

【データ】とき:11月19日/ところ:団結湖・圓苑酒楼/ねだん:98元

「干絲(gan1si1)」は、乾燥させた薄い豆腐を細切りにしたもの。
ふんわりとやわらかくて、やさしい食感の食材だ。
上海料理など江南地方の料理でしか食べたことがないので、
南のほうの食材なのだろう。

同じような食材に「豆腐絲(dou4fusi1)」があるけど、
こちらは干絲よりも厚手で、割と水気がある。
切り方も太めだし、表面に凹凸があって無骨な感じだ。

煮干絲は、この干絲を蝦や中華ハムと一緒にスープで旨煮にした一品。
代表的な上海料理だ。

スープ煮なのでスープ扱いではなく煮物だが、
汁気もある程度あるのでスープがわりに頼んでもいいかもしれない。
いい口湿しになる。

日本でも高野豆腐の煮物は煮汁がしみしみになって美味しいが、
こちらも干した豆腐だけあって味がよく染みわたっている。
この辺も日本人に人気の所以だろう。

もともとはそんなに高い料理ではないが、圓苑のは98元となかなか高価だった。
ヘンチキリンな日本語メニューに文句をつけながら注文をしていたので、
うっかり法外な値段を見逃してしまった。
細切り干し豆腐の小山にお飾り程度にフカヒレが載っているが、
このフカヒレがなければもっと安価で気軽に食べられる料理なのに。

こういう高級海鮮素材を使って値段をつり上げるやり方は、個人的に好きではない。
接待の席なら喜ばれるかもしれないが、普段通うには向かない。
まあ、こんなことを言っているような客は店側でも歓迎してはくれないだろうけれども。

ところで、メニュー名についている「金牌(jin1pai2)」なんだけど、
もともとは「金メダル」という意味。
「金牌菜(jin1pai2cai4)」なら、
文字通り料理のコンクールなどで金賞をとった料理という意味なのか、
看板料理とか、一押しのオススメ料理とかいった象徴的な意味なのか。
さてどちらだろう。


■お店情報
圓苑北京分店(圓苑酒楼)
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